近況報告


西成公園テントの破壊についての抗議・報告(2008.10.22)


大阪市ゆとりとみどり振興局
天王寺動植物公園事務所長殿

抗議文

貴所が先日,下記の通り,西成公園で野宿生活している労働者の住居1戸を破壊し,中の荷物を持ち去ろうとしたことに対して,厳重に抗議する。

去る2008年10月6日月曜日13時30分頃,貴所職員と公園利用相談員,総勢約15名が労働者Mさんの小屋を取り囲み,バリケードで周囲を封鎖した。そのとき小屋の様子を見に駆けつけてきたMさんに「お前,関係ないんだろ」と言い,Mさんが「ここはわしの部屋や。中見たら分かるやろ。」と答えると,「お前,そこまでやって,あとあとどうなっても知らんぞ。お前,本当に住んどったんか。」と暴言を吐いた。さらにMさんが「ホンマに住んどんや。わしの荷物あるやないか」と訴えているにもかかわらず,「こっち来い」と言ってMさんの腕を鷲づかみにして小屋の中から外へ無理矢理引きずり出した。その後,小屋をハンマー,バールなどで解体し,さらにその部材をチェーンソー2台で破壊し,中のMさんの所持品を持ち出した。
小屋を破壊している最中にも,ある公園利用相談員がMさんを「ちょっとこっち来い」と声をかけて呼びつけ,周囲に聞こえないような小声で「お前,関係ないんだろ」などと声をかけた。Mさんは「わしがここに住んでいるんじゃ」「わしの荷物もあるじゃろが」と再度抗議したが,貴所職員らは小屋を破壊し続けた。またMさんの所持品を記録や確認を取ることなくゴミであるかのように軽トラックの荷台に次々と放り込んでいった。最終的には貴所職員らは,Mさんがその小屋に居住している事実を認め,小屋の中にあったMさんの所持品を返還したが,未だに小屋そのものは復旧していない。
その前後にも貴所職員らは問題を起こしている。直前の週末には,職員ら約20人が来てMさんの小屋の周囲をバリケードで封鎖している。10月9日木曜日には,ある職員あるいは公園利用相談員がMさんを訪問し,自立支援センターに行けという旨言い放ったという。

以上のような貴所職員らの行為は,今さら敢えて抗議する間でもないほどに卑劣かつ不法なものであり,私たちは憤りを通り越してただ呆れ返らざるを得ない。
貴所職員らが持ち去ろうとした荷物の中には寝具や食料,炊事道具など,民事執行法ですら差し押さえ禁止としているものも含まれていた。さらに,Mさんがここに住んでいると主張しているにもかかわらず,Mさんを無理矢理小屋の外に連れ出して小屋を破壊するという暴挙に,何ら法的根拠がないことくらいは貴所も御承知であろう。
大阪市は過去3回,今宮中学校前,大阪城,靭,長居公園において比較的大規模に集住している多数の住居を一気に破壊する際には行政代執行という法的手段を採用してきた。しかし,本件に限られたことではないが,簡単に破壊できるような個別の住居に際しては,そのような法的手段すら経られていないことが多い。ここに,野宿者相手にはどんな違法行為も許されるという,貴所の常日頃の態度が如実に表れている。また,そのような法的手段を採用すること自体,社会的に問題視されていることは周知の通りである。
そもそも,他に行くところがないと主張している野宿者らの意見を,貴所はどれだけ真摯に理解しようと努めてきたのだろうか。大阪市が用意する自立支援センターが就労支援策として不十分であることは明白である。Mさんにも入所経験があるからこそ,今そこに住んでいるのだ。付言すれば,行政が採りうる最後の手段であるところの生活保護すらも,野宿者らの人間としての尊厳を必ずしも守るとは限らない。今貴所がなすべきことは,現時点で行政が用意している野宿者支援施策には限界があることを認めたうえで,人間の尊厳とは何かを自問自答しつつ,かれら野宿者らと真摯に話し合うことをおいて他にない。
廃品回収や日雇い労働などで生計を立て,慎ましやかに自立生活を営んでいるかれら野宿労働者たちに,一体何の落ち度があるのだろうか。貴所に住処を追われなければならないいわれはないはずである。
貴所におかれては,破壊された小屋を即刻復旧するとともに,Mさんに謝罪することを要求する。

2008年10月22日

大阪城公園よろず相談所
特定非営利活動法人 釜ヶ崎医療連絡会議
釜ヶ崎地域合同労働組合
釜ヶ崎パトロールの会
行動する会働き人
NPO法人 長居公園元気ネット
長居公園仲間の会
西成公園よろず相談所
野宿者ネットワーク


▼抗議活動の報告

 9時30分過ぎ、西成公園現地事務所に職員2名が車で現れたところに、こちらが「話がある」と言い、現地事務所の鍵を開けさせて参加者全員で中に入る。10月6日の小屋破壊の責任者を電話で呼ばせる。その責任者の東施設担当課長と代理が2人とも休みということなので、その代わりということで施設担当係長を呼ばせる。施設担当係長が到着するまで、その場にいた職員の前で抗議文を読み上げ、手渡し、事実確認を行う。
 その職員は、小屋破壊のときに居合わせていたが、「ここに住んどるんや」という野宿当事者の声を嘘だと思っていた、なぜなら数日前に突然会うようになったばかりだから、と弁解していた。野宿者当事者の荷物を「ゴミであるかのように」ではなく、丁寧に扱っていたとも主張していた。
 担当係長が到着。他にも軽バン4台と軽トラ1台に職員7名分乗して来た。担当係長の言い分としては、その小屋は直前まで住んでいた人から撤去承諾書を得ていたから破壊した。参加者から、承諾書はともかく、実際に現時点で住んでいる人がいるのに破壊したことに、どういう法的根拠があるのか、という質問が出たが、担当係長は一切答えられずだんまりを決め込んだ。また、その直前まで住んでいた人が承諾書を撤回しに天王寺動植物公園事務所まで赴いたことについては、聞いていないという。小屋破壊は東施設担当課長の責任において大阪市の業務として行われたことを確認した。
 担当係長を相手にしていても埒が明かないということで、10時20分頃、天王寺動植物公園事務所にこちらから赴くので担当係長が同席することを約束させたうえで、移動開始。こちらは徒歩あるいは自転車で、職員らは車で移動。
 こちらが天王寺動植物公園事務所に着いたときには、すでに門が封鎖され、公安が来ていた。11時20分頃から、門を挟んで押し問答になる。門の向こうで主に喋っていたのは、吉田所長。抗議文は担当係長から所長に渡されたとのこと。
所長曰く、
「本件の小屋は、直前まで住んでいた人から撤去の承諾を得て新規流入を阻止するための保全措置としてバリケード封鎖した。そこに入り込んだ野宿当事者は、不法侵入である。 2、3日そこに寝泊りしたくらいでは、そこに生活の本拠があるとは言えない。生活をしていなかったと判断した。 (その判断が正しいか間違っているかについて)あなたたちとは見解が違う。 (都市公園法が小屋で野宿することを禁じているかどうかについて)あなたたちとは法解釈が違う。 (承諾書が撤回されているはずのことについて)承諾書はとってある。それを見せることはできない。 (市民の声を)聞く必要はない。 職員がその野宿当事者を小屋から暴力的に引きずり出したとは思っていない」。
どうにも話にならないので、11時30分で引き上げる。その後、動物公園前―ジャンジャン横丁入り口付近でビラ撒き。
吉田直樹所長は、今回のテント破壊の被害者を「不法侵入」呼ばわりする。さらに、小屋に引っ越してきたでまだ数日しか寝泊りしていないから「生活をやっていないと判断した」というのは、許せない。 
参加していただいた方、抗議文に連名していただいた諸団体のみなさま、ありがとうございました。

日本橋公園テントの破壊の裁判・
原告・天王寺公園事務所の阿部、野宿者ネットワークの生田の証人尋問
(2008.7.10)


7月10日、10時15分〜3時10分、大阪地裁1010で、日本橋公園テント破壊裁判の証人尋問が行なわれました。
この日は、野宿者ネットワークの生田、テントを破壊され公園を追われた原告、排除の指揮をとった、当時の天王寺公園事務所・施設管理担当課長の阿部が出廷。日本橋公園にいた一人は、阿部について「ガンツケをしてきてヤクザみたいな態度で迫る」と言っていました。釜ヶ崎近辺の多くの野宿者・支援者にとって、恵美公園、西成公園、日本橋公園などでの阿部の言動は忘れられるものではありません。「私のいる1年半の間に、浪速区などで50のテントを撤去した」と語る阿部の尋問に最も時間を費やしました。
テント撤去前の3月の終わりに、こちらの弁護士から、日本橋公園のテントを撤去することは違法だとして、直ちにやめるよう求める申し入れが行われています。「撤去をやめることは検討したか」という弁護士の問いに、阿部は「誰にも相談はせず、一人で検討しました」と答えていました。「こんな抗議はいっぱい来ていますから」とも言っていたので、抗議は「無視した」ということです。
さらに、阿部は、テント撤去の際に行なうはずの(大阪市のマニュアルに必要と書いてある)「野宿生活者ケース会議」を行なっていないと証言しました。市のマニュアルすら守っていない強引な排除だったことになります。
また、「原告は、日本橋公園を離れてどこに行く予定だったのか、原告に尋ねたことはあるか」という問いには「ない」。「なぜ尋ねることすらしていないのか」と聞くと、阿部は「それについては私の仕事の範疇ではない」ということを答えていました。「公園から出て行ってくれさえすれば、あとはどうなってもいいということか」と聞かれると、「そういうことです」と堂々と答えて、(こちらの)弁護士から「素直な方ですね!」と皮肉られていました。
また、阿部が書かせたテント撤去の「承諾書」の内容は、市が作成したマニュアルとは違う書式になっています(@「退去後は」が挿入、A撤去期限を明示、B物件の表示が「小屋及び物品等一切」との不動文字)。それは、阿部自身が改変した、と証言しました。これは、撤去期限が過ぎれば、原告所有の財産すべてを大阪市が処分することができるように、本来予定されている内容を改変したということを意味しています。
一方、この承諾書の文章をそのまま読むと、大阪市が処分できるのは、原告が退去したあとに限られます。しかし、大阪市が撤去作業に着手した時点では、原告は公園から退去していません。そうである以上、「退去後」ではないのだから、 「小屋及び物品等一切」を廃棄できないはずです。阿部は、「本人がテントを出て、家財道具を全部捨てていくことはよくある」と言っていましたが、 現に本人たちがテントにいた以上、家財道具を廃棄することはできません。阿部の証言は、テント撤去の手続きを無視した強引さと、野宿者に対する人権感覚のなさをまざまざと見せていました。
一方、原告は阿部が公園にやってきて以降の状況を説明し、「不法占拠だと行政の人間に言われて、抵抗することは難しかった」「行くところがない以上、日本橋公園から出て行きたくはなかった」と証言しました。
また、大阪市は日本橋公園のテントに対して住民や中学生から苦情が出されていたことを撤去の理由に挙げていましたが、日本橋公園の野宿者と近隣住民との関係は非常に良く、近所のマンションの住人の犬を夜の間テントで預かったり、逆に住民がテントの人の犬を散歩させたりという交流がありました。原告も、近所のこどもたちにセミ取りを教えたりして遊ぶことがあったと証言しました。野宿しているために近隣住人に著しい迷惑をかけたという事実はありません。
野宿者ネットワークの生田は、知らせを受けて現場に到着して「テントを壊すのをやめろ」と抗議しても、阿部は「うるさい」「不法占拠物件を本人に承諾書をとった上で撤去するだけだ」とどなり返してきたこと、本人が不在だったテントについて「本人がいないんだから帰ってくるまで待て。必要な物まで撤去するのか」と言ったにもかかわらず、阿部たちが本人不在のままテントを完全に破壊したこと、撤去された生活物資は、そのあと直ちにすべて「ゴミ」としてすべて捨てられたことを証言しました。
この事件では、大阪市および天王寺動植物公園事務所の野宿者への姿勢が鮮明に現われました。野宿をしなくてすむ「対策」を示すことも、本人たちとの十分に話し合いも、本人の真の同意を得ることもなくただ公園からのテント撤去のみを急いだこと、公園を出て行ってもほかほかに行くことがないことを承知の上で強制撤去を行なったこと、現に人間が中に住んでいる状況でテントをたたき壊したこと、さらにテント、食器、衣類などの生活必需品を廃棄して生活そのものを不可能にしようとしたこと、それらは、近年の大阪市の野宿者への非人道的な姿勢を明確に表しています。一言で言えば、それは公園からの撤去のみを目的として、野宿者の存在そのものを否定する行為でした。
行政は、野宿という究極の貧困にある人々が唯一得た生活場所を奪い、路上に追いやりました。行政は、テントを破壊し排除するのではなく、野宿者が仕事と住居(生活保護水準以上の)を得ることのできる支援策を率先して行なうべきでした。
 大阪市および天王寺動植物公園事務所の姿勢を糾し、野宿者の人間としての生存と生活を守るため、この裁判への支援を呼びかけます。


日本橋公園テントの破壊の裁判・原告の意見書(2007.5.7)


4月12日に大阪地方裁判所で日本橋公園裁判の実質的に最初の公判があり、原告が意見陳述を行ないました。
経歴の部分を略した形で、ここで報告します。
今後ともこの裁判への支援をお願いします。

意見書

1 私は、この訴訟の原告です。(経歴は略)
2 1998年3月頃、大阪市西成区にある、「ドヤ」と呼ばれる1泊1500円程度の簡易宿泊所で生活していました。しかし、そのころ、西成での日雇いの仕事もなくなり、ドヤ代も払えなくなってしまったことから、路上生活を始めたのです。
  この年、私は一生懸命仕事を探しましたが、なかなか見つからず、西成の三角公園や四角公園の炊き出しに行ったり、喫茶店のゴミとして出してあるパンのミミを集めたりして、空腹をまぎらわしていました。
食べていくために、不要品として捨てられている靴や衣類、電化製品などをきれいに修繕して、路上で売る仕事をするようになったのです。
  私は、路上生活を始めた当初は、日本橋でんでんタウン界隈でダンボールをしいて寝ていましたが、1998年10月頃には、阪神高速高架下に移っていました。
  この高架下で私は、ガードレールとフェンスの間で空いている場所に、ブルーシートを張って3年間ほど、生活していたのですが、歩道を拡張してフェンスを除去するから、などと管理者に言われ、やむを得ず、日本橋公園に移って来たのです。
3 日本橋公園は私にとって、居やすいところでした。
  公園の周りに住んでいる子ども達に、私や私と一緒に日本橋公園内で野宿生活をしている人たちが、猫との遊び方やセミ取りを教えることもありました。また、公園の周りに住んでいる人が、公園内で野宿生活をしている人の犬の散歩をかって出てくれていました。ですから、近隣住民の人たちの多くは、私達のことを理解してくれていたように思います。公園事務所の人達が、行き場所のない私達を追い出すことに、なぜそんなに躍起になるのか、私には分からない部分が多いです。
4 「ホームレス」と呼ばれる人達の問題は、余程社会の状況が変わらない限り、特に都市部に於いては、無くなる事がないと思います。
私を含めた「ホームレス」と呼ばれる人たちの多くは、初めから好き好んで、路上や公園における、野宿生活に入ったわけではなく、やむなく、仕方なく、そういう生活に入っていかざるを得なかったと思います。そして、もう一度アパートを借りるに足りるような収入の得られる仕事にも就けないことから、結局、野宿生活を続けざるを得なかったのだと思います。
5 自分がこの裁判を提起したのは、未だに公園や路上で、テント暮らし、または、テントさえ持てずに、路上生活をしておられる人が大勢おられるからです。行政側の、あまりにも、そこで人が生きているという事実を無視したやり方を、少しでも抑止できればと思います。私達も人間なのですから、納得出来るような説明もなく、話し合うこともなく、無理矢理物を奪い取って捨ててしまうようなやり方や、排除したらやりっぱなしという態度を控えて欲しかった、と考えるのです。
今回の撤去のやり方を見ていて思うのですが、行政職員は、敢えて抗議を受けるようなやり方をとっているように思えます。このような職員の中には、頭のいい人はたくさんおられるだろうに、どうしてもう少し、私達が、野宿生活を「強いられている」のだということを考えたやり方をしてくれないのか、と本当に残念に思います。
今回の裁判を起こして間もなく、長居公園テント村の行政代執行の様子を間近で見ました。
私は以前、テレビのニュースで、有毒物質の産業廃棄物撤去のための行政代執行を見たことがあり、行政代執行とは、このまま放置すれば深刻な事態になりかねない時にとられる方法だと考えていました。けれども、長居公園のテントは、そこまで深刻な事態が生じるとは思えませんでした。
私の時もそうですが、どうして少しでも当事者の立場に立って、時間をかけた話し合いで、解決することが出来ないのでしょうか。
「大いなる力には大いなる責任が伴う」という言葉があります。行政の方々には、それなりに責任が伴うことを理解して、「ホームレス」問題に取り組んで頂きたいと思います。
以上


日本橋公園テントの破壊の裁判への支援・カンパのお願い(2007.1.23)


2006年5月2日、大阪市浪速区の日本橋公園のテント4つが天王寺公園事務所によって破壊され、生活していた5人が着の身着のままで追い出されました。
この件について、今日裁判を起こしました。みなさんの支援・カンパをお願いします。


日本橋公園テント破壊の裁判への支援・カンパのお願い

 2006年5月2日、野宿者ネットワークが夜回りをしている日本橋公園(大阪市浪速区)で、大阪市によるテントの破壊が行なわれました。
 2月末、日本橋公園に大阪市・公園事務所施設管理担当課長・阿部ら数人の公園事務所職員が現われ、「この公園もそろそろ出て行って欲しい」「3月末には公園から出て行ってもらわないと困る」などと一方的に通告してきました。その後も繰り返し同様の通告を強圧的に行ない、半強制的にテント撤去の「承諾書」を書かせました。(当事者たちは「公園を出ても行く場所はないから書きたくなかったが、寒い中、4〜5人に40分近く取り囲まれて「不法占拠だから出て行け」と強く言われ、書かないと許されない雰囲気だった」と言っています)。自立支援センターや生活保護についての説明は「ほとんどなし」でした。
 野宿者ネットワークとして、公園の当事者と繰り返し話し合い、「行政のやり方はひどすぎる。公園を出てもいくあてがない」という声を受けて、不当な追い出しを拒否するという姿勢で、できる限りの支援を行なおうとしてきました。
 「野宿者ネットワーク・釜ヶ崎医療連絡会議・釜ヶ崎キリスト教協友会・釜ヶ崎パトロールの会・釜ヶ崎反失業連絡会・長居公園仲間の会・西成公園よろず相談所」の連名で抗議文を出し、弁護士有志の連名によって「不当な排除を止めよ」という申し入れを大阪市ゆとりとみどりの振興局・天王寺動植物公園事務所に対して行ないました。4月20日には、野宿者ネットワーク、野宿当事者による「人権救済申し立て」を大阪弁護士会人権擁護委員会に対して行ない、さらに釜ヶ崎の労働センター、大阪市役所前で排除中止を求めるビラまきを行ないました。にもかかわらず、テントに居住している状態で行政は無理矢理に強制排除を行なってきました。公園で工事予定があるわけでもなく、単に「不法占拠だから公園から出て行け」という理由でした。
 壊されたテントは4。被害者は5人。本人の話によると、「テントの中にいると、いきなりテントが壊され始めた。襲撃かと思った。外を見ると、役人が「つぶす」と言ってきたので、「ちょっと待てや」と言ったが、行政は無視してテントを壊し続けた。着の身着のままでテントを出た。そのため、食料、コンロ、鍋、下着など、生活必需品をほぼすべて廃棄された」ということです。
 知らせを受けて現場に到着した野宿者ネットワークのメンバーが「テントの破壊を止めろ」「違法行為は止めろ」と抗議すると、阿部は「うるさい」「不法占拠物件を本人に承諾書をとった上で撤去するだけだ」「訴えるなら訴えてみろ。そんなことをすれば誣告罪(ぶこくざい)で訴える」と怒鳴り返しました。不在だったテントについて「本人がいないんだから帰ってくるまで待て。必要な物まで撤去するのか」と言いましたが、行政は本人不在のままテントを完全に破壊しました。撤去された生活物資は、そのあと直ちにすべて「ゴミ」としてすべて捨てられたことを確認しています。
 野宿者ネットワークと当事者とで取り出せるものを公園の中央に運びだし、釜ヶ崎キリスト教協友会、反失業連絡会、西成公園よろず相談所、NPO釜ヶ崎など多くの団体、個人から生活物資や車両の提供を受けて、非常事態での引っ越しを行ないました。その後、他の地域への引っ越しや生活保護受給などの手続きを続け、行方の分からない一人を除いて、いまも当事者との関係は続いています。
 なお、日本橋公園の野宿者と近隣住民との関係は非常に良く、近所のマンションの住人の犬を夜の間テントで預かったり、逆に住民がテントの人の犬を散歩させたりという交流が続いていました。公園の清掃も毎日行ない、近隣住民から「あんたたちがいると公園がきれいで助かる」「あんたたちがいるから公園に夜来ても安心だ」と言われていました。野宿しているために近隣住人に著しい迷惑をかけたという事実は全くありませんでした。

 天王寺動植物公園事務所によるこのテントの破壊に対し、損害賠償訴訟を起こします。この事件では、大阪市および天王寺動植物公園事務所の野宿者への姿勢が鮮明に現われました。野宿をしなくてすむ「対策」を示すことも、本人たちとの十分に話し合いも、本人の真の同意を得ることもなくただ公園からのテント撤去のみを急いだこと、公園を出て行っても他に行くことがないことを承知の上で強制撤去を行なったこと、現に人間が中に住んでいる状況でテントをたたき壊したこと、さらにテント、食器、衣類などの生活必需品を廃棄して生活そのものを不可能にしようとしたこと、それらは、近年の大阪市の野宿者への非人道的な姿勢を明確に表しています。一言で言えば、それは公園からの撤去のみを目的として、野宿者の存在そのものを否定する行為でした。
 テントを壊された当事者は、野宿に至った経緯を「仕事を(あいりん総合センターに)朝4時前に起きて探し回りましたが(…)皆目仕事にありつけることなく」「4、5日間水以外飲まず食わず」、「飯場にいても仕事が一週間に一日しかない(…)借金がかさんで、とても生活できない」と証言しています。ほとんどの野宿者がそうであるように、日本橋公園の人たちの多くも失業や病気といったアクシデントで野宿に追い込まれ、公園ではアルミ缶集めや粗大ゴミ集めといった月収数万円の仕事で働いていました。行政は、野宿という究極の貧困にある人々が唯一得た生活場所を奪い、路上に追いやりました。行政は、テントを破壊し排除するのではなく、野宿者が仕事と住居(生活保護水準以上の)を得ることのできる支援策を率先して行なうべきでした。
 日本において、生活保護水準以下の収入しか得られない、貧困層にある人々が増えつつあります。今回行政が行なった行動は、貧困者に対する住居権と生存権の破壊と言えます。このような暴挙は許されるものではなく、決して繰り返されてはなりません。
 裁判では、テントを破壊された当事者が、原告として裁判を起こし、そして証人として参加します。わたしたち野宿者ネットワークも、最後まで支援を行ないます。
 大阪市および天王寺動植物公園事務所の姿勢を糾し、野宿者の人間としての生存と生活を守るため、野宿者問題に心を寄せる多くの方々にこの裁判への支援を呼びかけます。

支援カンパの振込先
▼「日本橋公園裁判を支える会 生田武志」
りそな銀行 萩ノ茶屋支店(店番号116) 普通0069744
▼郵便振替の場合、
日本橋公園裁判支援と明記して
野宿者ネットワーク 00980_2_31248 へお願いします。


↓テントを破壊し、生活道具を廃棄する天王寺公園事務所職員。


↓テントの撤去の後は、杭を打ってロープが張られた。テントを撤去しても、公園のこの場所は誰にも使えない。


野宿者ネットワーク主催 第3回セミナーのお知らせ
2 ‘ホームレス’ってどんな人?〜野宿者問題を一緒に考えてみませんか〜
2006年11月25日(土)10:00〜17:00 


‘ホームレス’ってどんな人?
〜野宿者問題を一緒に考えてみませんか〜

街のあちらこちらで見かける‘ホームレス’。
現在、日本には3万人を超える野宿生活者がいると言われています。
なのに、‘ホームレス’と呼ばれる人たちのことを知っている人はあまりいません。それどころか、社会の目は差別と偏見に満ち、若者によるホームレス襲撃や排除も後を絶ちません。
今回のセミナーでは、野宿者ネットワークの活動の中から見えてきた事柄を中心に、野宿生活者の生活の様子、また‘ホームレス’をうみだす社会のしくみや行政の対応、襲撃の実態、野宿者支援のとりくみなどを紹介しながら、みなさんと一緒に野宿者問題を考えたいと思います。

セミナーでは
野宿者ネットワーク制作
『一緒に考えよう野宿者問題』 〜教室で子どもたちと学ぶ先生のためのハンドブック〜
をテキストとして使用します。
(この手作りテキストは、とてもわかりやすいと好評です。)

☆日 程: 2006年11月25日(土)10:00〜17:00 (9:30〜受付を行います)
*セミナー後にオプショナルで、釜ヶ崎のフィールドワーク(17:15〜18:30)や夜回り(19:30〜22:00頃)を実施します。希望者はセミナー申し込みの際に、オプショナルへの参加希望をお伝えください。是非、夜回りに参加されることをおすすめします。

☆会 場: ふるさとの家
大阪市西成区萩之茶屋3−1−10(地図は裏面をご覧ください)
 JR・南海「新今宮駅」東口下車徒歩5分
市営地下鉄御堂筋線・堺筋線「動物園前駅」E出口下車徒歩5分
*場所がわからない方は、9:15〜9:30の間、JR新今宮駅東口の改札を出たところで、ネットワークのメンバーがこのチラシを持って待っています。声をかけてください。ふるさとの家まで案内します。

☆セミナーの内容
 1.襲撃について
 2.排除について
 3.野宿生活者のくらし
 4.野宿生活をしているFさんに聞く
 5.野宿者をうみだす社会構造を考える
 6.寄せ場「釜ヶア」
 7.参加者でふりかえり


☆参加費: 1000円(ハンドブック&資料代込み)
       *フィールドワークを希望される方は別途500円をお願いします。

☆対 象: 野宿者問題に関心のある方
      教員・社会教育関係者・教員志望の学生

☆定 員: 30名 (うちフィールドワークは15名)
        要申し込み 締め切り11/19(日)
        → 氏名・連絡先・参加動機・オプショナルへの参加の有無などをお知らせください。
☆主催 & 申し込み
野宿者ネットワーク
HP http://www1.odn.ne.jp/~cex38710network.htm
E-mail: network-seminar@hotmail.co.jp ←セミナー申し込み専用アドレス
電 話 090-8986-4428 ←セミナー申し込み専用番号
    *電話でのお申し込み及びお問い合わせは17:00以降にお願いします。

過去のセミナー参加者の声
・ポイントをついた内容で分かりやすかったです。ビデオがあったり体験談があったりで、時間が経つのが早く感じました。フィールドワークでは、何気なく見ていたもの(建物やひと)に、いろいろ意味や背景があったりすることに気づかされました。
・セミナーの最後のゲームは、おもしろく且つ身をもって社会構造の一端を実感することができた。
・まずは、自分自身に「偏見」があること。それは「よく知らないから」それがよくわかりました。現実を知り、事実を自分でわかって、そこから自分の中にある意識を変えていきたい。次は「行動」です。もっと色んなこと知って、自分を変革させていきたい。

過去のセミナーの報告


野宿者運動支援者・当事者に対する逮捕・弾圧への抗議(2006.10.1)

9月27日、釜ヶ崎地域合同労組の委員長、西成公園に住む二人、西成公園よろず相談所の一人、釜ヶ崎パトロールの会の一人が逮捕されました。
野宿者運動に対する不当な逮捕・弾圧であり、強く抗議します。
27日の早朝、機動隊と多数の私服を西成公園に導入した上、大阪府警は西成公園の二人を、そして一人を自宅で逮捕しました。西成公園に住む二人とよろず相談所の一人は、西成公園の野宿者運動を支えていた野宿当事者・支援者で、野宿者ネットワークも連携・協力して活動していました。西成公園に関わるわたしたちは、この不当な逮捕・弾圧に強い怒りをもって抗議します。
9月30日の西成公園交流会では、各地の支援団体も参加し、逮捕された5人の支援、大阪府警への抗議の声を挙げました。


抗 議 声 明 9・27弾圧救援会

 昨日午前6時ごろ、私たちの仲間が4名、大阪府警により令状逮捕され、さらに午後9時ごろ、1名が逮捕されました。
 釜ヶ崎地域合同労組の稲垣さん、西成公園に住む二人、西成公園よろず相談所の仲間、釜ヶ崎パトロールの会の仲間一人です。4名についての被疑事実は2件の「威力業務妨害」と「暴力行為等処罰に関する法律違反」。釜パトの1名についてはまだ詳細はわかっていません。

 私たちは即日、野宿者運動団体、支援団体、共闘してきた労働組合などで集まって話し合い、「9・27弾圧救援会」を立ち上げました。救援会では今回の弾圧を「西成公園などでの強制排除を織り込んだ、計画的な運動つぶし」とみています。
 私たちは、人間としての尊厳を守り「生き抜く」ための闘いとして貧困と排除と抗し闘ってきた野宿の仲間たちと、これからも一緒に闘い続けるという決意を強くしています。そして、あからさまな運動つぶしによってその非人間性をさらけだした大阪市・大阪府警をけっして許さず、5名の仲間の奪還と運動の前進を勝ち取りたいと思います。

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 稲垣さんは、定期的に大阪市が清掃・消毒に入る汐見橋(大阪市浪速区)周辺に住む仲間の小屋で、清掃作業の際に不当な嫌がらせがないように監視する行動に継続的に取り組んでいます。4月27日(木)の同作業の際、市職員(大阪市建設局)が当人の許可無くビデオ撮影しているのを稲垣さんが抗議したことをもって、「威力業務妨害」と「暴行」としているものです。報道されたような手首をつかんだとか胸を小突いたという事実はありません。
 稲垣さんは数年来、西成暑の警察官による釜ヶ崎労働者への暴行を糾弾する取り組みを続けていました。また、最近では「あいりん職安」を糾弾する取り組みに活発に取り組み、さらに汐見橋の現場では、市職員が仲間の小屋に「撤去告知ビラ」をべたべた貼り付ける行為を大阪弁護士会に人権救済
の申し立てをして、弁護士会から市に対する「勧告」を引き出しました。今回はそうした一連の闘争への報復的弾圧という見方もあります。

 もう1件の被疑事実は、6月12日、西成公園の排除を巡る攻防のなかでのことです。西成公園では、近所の公園で強制的に排除され仲間を受け入れて新規に小屋を建てています。排除の際、大阪市は代替居住地も示さず、将来展望の見えない自立支援センターへの入所を勧めるだけでした。住処を失った仲間に、西成公園の労働者が「じゃあうちにおいでよ」と声をかけたのでした。このように西成公園では、排除に抵抗して生き抜くため、仲間の暮らしを仲間で支えようと、新たな仲間を迎え入れてきました。ですが大阪市はここでも「新規建設は許さない」と圧力をかけてきました。この日も「撤去勧告」に来ていた公園事務所職員(大阪市ゆとりとみどり振興局)に対する抗議行動を行っていました。 西成公園の3人は、稲垣さんや釜パトメンバーとともに数年来の反排除の取り組みに参加してきた仲間です。昨年夏、西成公園に強制排除の危機が迫ったときも、うつぼ・大阪城公園の行政代執行の時も、私たちは一緒に闘いました。

**********

 救援会では、大阪市はこの冬にも強制排除を再び強行してくる可能性があると見ています。そのための事前弾圧として5名を逮捕したのだと考えています。
 西成公園だけのことではなく、来年IAAF世界陸上が開催されるうえ、08年には「指定管理者制度」が導入される長居公園、08年に日本で開催されるG8サミットの開催候補地になっている大阪城公園、総合的な観光化をすすめようとしている中之島一帯でも、強制排除の可能性があると考えています。
 大阪市はいま、「行政改革」の名のもとに「経済再生」を推し進めています。野宿者とブルーシートのテント、それを支える運動を「経済再生」のための「阻害要因」とみなして徹底的に排除しようとする、大阪市の強い決意を感じます。富める者のための「改革」や「経済」のために、野宿労働者をはじめ貧しい者たちが排除される社会状況に、強く抗議します。
 私たちは逮捕された仲間を支え続け、貧困と排除とどこまでも闘い続けます。
 今後ともご注目、ご支援をよろしくお願いします。

 2006年9月28日
9・27弾圧救援会
  連絡先:NPO法人釜ヶ崎医療連絡会議
(TEL/FAX 06-6647-8278 E-Mail:iryouren@air.ocn.ne.jp)

**********

【お願い】
●5名の仲間の同時逮捕、しかも3件別個の被疑事実ということで、救援会では弁護士費用や訴訟費用が不足しています。たいへん恐縮ですが、みなさまのご支援におすがりするほかない状況です。どうかよろしくお願いします。

 カンパ振込先
郵便振替口座 00940−5−79726(加入者名:釜ヶ崎医療連絡会議)
通信欄に9・27弾圧救援と書いてください。

●以下の連絡先に抗議の電話・FAXをお願いします。
大阪市経営企画室             06-6208-9720 
大阪市ゆとりとみどり振興局 総務部 庶務課 TEL06-6615-0614 FAX06-6615-0659
大阪市建設局 管理部 路政課        06-6615-6675
大阪市市民局 市民部
広聴相談課      TEL:06-6208-7333 FAX:06-6206-9999
大阪府警察本部              TEL 06(6943)1234(代表)
西成警察署                06-6648-1234


天王寺公園事務所への意見書(2006.5.30)


大阪市 ゆとりとみどりの振興局 御中
天王寺動植物公園事務所 御中

意 見 書
2006年5月30日
賛同者一同

 2006年3月27日の法律家有志による下記申入れにもかかわらず、同年5月2日、貴局及び貴所は、無効である可能性の極めて高い、承諾書ないし誓約書をもって、テント撤去を断行され、あろうことか、財産的価値のある上記テント内各物件を廃棄処分されたとのことです。
 我々賛同者一同は、貴局及び貴所の上記処分に対し、厳重に抗議致します。
(連絡先)
〒530-0001
                大阪市北区梅田1丁目2番2−1200号
                大阪駅前第2ビル12階1号
                木原法律事務所
                TEL06-6345-1512    FAX06-6345-1528
                  弁護士  木 原 万樹子


 我々は、路上での法律相談等を通じ、ホームレス問題に取組んでいる法律家一同です。今般、大阪市内の関谷町公園、日本橋公園、西梅田公園等において、同公園事務所職員が、ホームレスの人たちのテントを個別に訪れ、「愛染公園もテントはなくなった」などとして、大阪市内の公園にはテント撤去が強制されているかのような言い回しを行って、「テント撤去の誓約書」を取った上、誓約書記載の期日にテントを撤去しているとの情報を得ましたので、本申入れに至った次第です。
 貴局及び貴所としては、当然ご存知のことと思いますが、ホームレスの人たちにとって、各人のテントは、生命を守るため最低限必要な生活の本拠ですし、同テント内には、寝具、調理器といった、個別の財産的価値のある各物件が置かれています。
また、上述した誓約は、「告」と題した「所有者は平成18年3月31日までに撤去するよう通告します」との内容の文章を差し置いた上で、公園事務所職員が多人数で訪れている状況下で行われているとのことですし、上記誓約ないし同意の結果、ホームレスの人たちは、厳寒の中、テントのない状態で、別の場所に追いやられることになるのですから、このような同意をもって、テント撤去の真摯な同意があったとすることは、極めて疑わしいと言わざるを得ません。
また、仮に上記誓約書が有効であったとしても、ホームレスの人たちのテントを撤去することは、違法である疑いが極めて濃厚です(大阪弁護士会1月25日付会長声明参照)。
 ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(以下「ホームレス自立支援法」という)11条は、都市公園その他の「施設の適正な利用を確保するために必要な措置をとる」ためには、「当該施設」の「適正な利用が妨げられている」ことを要求しているところ、前述したテントは公園を部分的に利用しているに過ぎず、同テントがあるからといって、当該公園の適正な利用が妨げられているとは到底言えません。
加えて、ホームレス自立支援法11条は、「ホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を図」ること、「法令の規定に基づ」くことも必要であるとしています。
ここにいう「法令の規定」には、憲法、条約・国際法規、生活保護法などの諸法令が含まれるところ、わが国も批准している経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約11条は、「相当な食糧、衣類、及び住居を内容とする相当な生活水準についての並びに生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利」を保障しています。
そして、適切な居住の権利は、@高度の正当化事由、A影響を受ける人々との真正な協議等の適正手続、B自国の利用可能な手段を最大限用いた適切な代替住居の提供という3要件を欠く強制立退きを禁止しています(国連社会権規約委員会の一般的意見第4及び第7等)。
@新聞報道によれば、大阪市内で行われている強制立退きは、「全国都市緑化おおさかフェア」と「世界バラ会議」といったイベントに向けてのものだとされていますが、こうした「美観の確保」は、高度な正当化事由とはなりませんし、工事のために全てのテントを撤去する必要があるのかでさえ明らかではありません。
A前述した「告」と題する文書を差し置き、行政職員としての立場を利用して、誓約書を回収するという手続では、真正な協議等の適正手続を経たと言えないことは勿論ですし、居宅保護の提示のないまま施設への入所勧奨をいくら行っても、真正な協議等を経たといえません。
B生活保護法30条が居宅保護(アパート等での生活保護)を原則としている以上、わが国における適切な代替住居の提供は居宅保護の実施が原則とされるべきところ、居宅保護の提示をせずに、入所・設置期間が限定されたプライバシーのない集団生活を強いられる自立支援センター等への入所を勧奨するだけでは不十分です。
したがって、前述した誓約書回収によるテント撤去が行われているのだとすれば、国連社会権規約委員会の一般的意見第4及び第7等に反するものであって、自立支援法11条及び社会権規約11条等に違反する可能性が極めて高いことになりますから、直ちに止めて頂きます様、貴局及び貴所において周知徹底して下さいます様、申し入れます。

以上

賛 同 者 名 簿

      


         氏   名           
                        所   属

                小久保 哲                                                             大阪弁護士会

               安 永 一 郎                                       大阪弁護士会

              間   光 洋          大阪弁護士会

             藤 木 達 郎          大阪弁護士会

             大 橋 さゆり          大阪弁護士会

                              陳 愛                                       大阪弁護士会

                              原   啓一郎          大阪弁護士会

                              大 森 景 一          大阪弁護士会

                              古 川   拓          大阪弁護士会

                              藤 木 達 郎          大阪弁護士会

                              奥 田 愼 吾          大阪弁護士会

                              小 野 順 子          大阪弁護士会

                              友 弘 克 幸          大阪弁護士会

                              佐 野 就 平                                       京都弁護士会

                              舟 木   浩          京都弁護士会

                              住 田 浩 史          京都弁護士会

                              古 川 美 和          京都弁護士会

                              木 谷 公士郎          兵庫県司法書士会

               中 村 宏 二          兵庫県司法書士会

                              有 田   優          兵庫県司法書士会

                              小 川 真理子          兵庫県司法書士会

                              葛 原 裕 子          兵庫県司法書士会

                              國 本   勝          兵庫県司法書士会

                              高 原   勉          兵庫県司法書士会

             齋 藤   耕          札幌弁護士会

                              大 田 朋 美                                       札幌司法書士会

                              津 田 二 郎          東京弁護士会

                              中 川 重 徳          東京弁護士会

                              山 本 志 都          東京弁護士会

                              田 部 知江子          東京弁護士会

                              森 川   清          東京弁護士会

                              河 野 祥 多          第一東京弁護士会

                              大 森 孝 参          第二東京弁護士会

                              後 閑 一 博          東京司法書士会

                              穂 積 匡 史          横浜弁護士会

                              古根村 博 和          神奈川県司法書士会

                              長 田 悦 子          埼玉司法書士会

                              谷   靖 介          茨城県弁護士会

                              高 貝   亮          静岡県弁護士会

                              小 澤 吉 徳          静岡県司法書士会

                              笹 沼 弘 志          静岡大学助教授

     間 宮 静 香                                 愛知県弁護士会

     溝 口 史 子                                 福岡県弁護士会

     徳 永 慎 一                                 福岡県司法書士会

     板 井 俊 介                                 熊本県弁護士会

       芝 田  淳                               鹿児島県司法書士会



野宿者ネットワーク主催 第2回セミナー『いっしょに考えよう!野宿者問題』の報告(2006.5.6)



5月6日(土)午後、野宿者ネットワークとしては2回目の一般参加者に向けた「野宿者問題を考えるセミナー」を開催しました。大学や高校の教員の申し込みが多く、当日は一般の参加者23名・会員8名という多くの参加がありました。

今回は1月30日に大阪城公園・靭公園で行われた行政代執行のことや、この間の西成公園・日本橋公園・釜ヶ崎周辺の公園でおこなわれている行政による排除の動きを知ってもらうための時間をつくりました。一般の報道では知らされない様々な事実を知るために、大阪城公園で排除された当事者である藤田さんをむかえ、代執行までの行政の対応や藤田さん自身の思いや生活についてお話ししていただきました。「野宿労働者の暮らしを知る」という内容でも、今回は野宿当事者である西成公園の藤井さんに話していただく時間を長くとり、生活の様子だけではなく、戦争と切り離して考えることはできない藤井さん自身の人生を語っていただきました。参加者の感想にも「当事者の話が聞けて良かった」というものが多くあり、また、当事者の話は参加者にとってはもちろん、私たち支援にとっても大きな学びとなりました。また、今回は土曜日開催としたことで、セミナー後の夜回りに多くの人が参加され、夜回りで野宿している人の現実を知ってもらうことができたことの意義は大きかったと思います。

4時間のセミナーの内容が盛りだくさんで、参加者が消化しきれない部分もあり、また、参加者同志が意見交流する時間を持つことができなかったことは今後の課題ですが、
排除が激化しているこの時期に、30人を超える参加者とともに「野宿者問題とは何か」
を考えることができた意義は大きいと思っています。
野宿者ネットワークでは、今後もひとりでも多くの人に「野宿者問題」を正しく知ってもらうために、工夫を凝らしながらこのようなセミナーを開催していきます。会員のみなさまも是非セミナーに参加いただき、より良い学びが得られるセミナーづくりのためにご意見をいただけると嬉しいです。                          

〜参加者の声〜           
・野宿者の方たちの講義を受け、いろいろな知識を得ることができ、またフィールドワークで初めてあのような生活がこの日本であるのだなぁという驚きがありました。
・まだまだ勉強(認識)不足なので、学習していきたいです。
・行政代執行についての話で、野宿者が大阪にいるのが自然だという話を聞いて(ネットワークによる注:寄せ場があることと行政の無策のため)、その通りだと思いましたし、印象に残りました。
・まずは、自分自身に「偏見」があること。それは「よく知らないから」それがよくわかりました。現実を知り、事実を自分でわかって、そこから自分の中にある意識を変えていきたい。次は「行動」です。もっと色んなこと知って、自分を変革させていきたい。
・野宿者の方のお話しを聞いて考えさせられることや、地域や行政との関係など具体的に聞けて良かったです(ペットの話、戦争の話など)。大陸からの帰還の話は、祖父の話とだぶりました。 あと話が少しそれますが、震災の神戸がよみがえってきました。「野宿者と被災者はどう違うのか。震災のときには公園にも郵便が届いたぞ」みたいな…。
・非常に良かったです。ホームレス問題は「構造的暴力」なのだと実感できました。知り合いの大学の先生が、ホームレスの方々に炊き出しを行っていると聞き、その真意がよく理解できませんでしたが、今回のセミナーでよくわかりました。生徒達にも還元したいと思います。ありがとうございました。世界のホームレスの問題の比較は、大変興味を持ちました。
・参考になりました。ありがとうございました。教室で使わせていただきます。
・野宿者問題は、それのみで問題としてあるのではなく、戦争の反省のないまま戦後補償もしないまま自国の繁栄のみを追い求め、そして藤井さんのような方を最後に切り棄てていく。その日本の社会のあり方の複合的な問題であると実感しました。土建社会である日本は効率だけを求める社会であったので、労働者の権利をみんなで考える成熟さを持てなかった、というのが腹立たしいです。ジェンダーの問題とも関わりがあることも知りました。野宿当事者のお話を聞けたのが、一番良かったです。
・当事者の意志・自己決定権を尊重することの重要性を感じました。野宿者に対する偏見をなくすためにも、事実を知ってもらうことが重要なことだと改めて認識しました。自分にできることを考えたいと思います。なんらかの形で、行動に参加・協力したいと考えています。
・とても勉強になりました。今まで何も知らずに普通に生活していましたが、裏でこん な現状があることに少し複雑な気持ちでいます。
・野宿者問題について理解してもらいたいという熱意が感じられた。教員をはじめもっ と多くの人に受講してもらいたい。まだ学校への出張セミナーなどが可能になると良いと思う。
・野宿労働者・支援者・行政それぞれの立場があって、何が正しいとはわかりませんが、このような勉強を続けて自身のできる支援を続けていきたいです。

★ 第3回のセミナーを秋頃に予定しています。詳細はHPをご覧ください。(詳細が決まり次第HPにアップします)

日本橋公園のテント破壊に対する抗議行動(2006.5.8)


5月2日の天王寺動植物公園事務所による日本橋公園のテント破壊に対して、行政の休みが明けた8日(月)に抗議行動を行ないました。

労働センターで6時からビラまきとマイクを使っての情報宣伝、
8時から徒歩で出発。8時半に公園事務所へ。
参加者は、各地の支援団体、西成公園の野宿者、夜回りで撒いたビラを見て駆けつけた野宿者、センターから来てくれた労働者、そして日本橋公園の当事者など、40名程度。

当初から、公園事務所は警察を敷地内と路上に導入していた。
8時半の段階で、出入り口門を閉めてこちらを敷地に入れないという対応。
天王寺動植物公園事務所の施設管理担当課長・阿部は日本橋公園の当事者に向かっていきなり「おい、そこの…」と呼びかけた。「その言い方はなんだ」と抗議を受けると、「おい、なんて言ってない」と(周りみんなが聞いているにもかかわらず)しらを切る。
(こちら)「日本橋公園のことで話し合いに来た。きちんと対応して欲しい」
「(公園事務所)こんな沢山とでは話せない。代表を本人と支援者とで5名に絞れ。そうすれば中の部屋で話す」
「みんな、自分の問題だからこうしてわざわざ来ている。みんなで話すのが当然だ。そっちも10人以上いる(門の中に立っていた)んだから、なんだったらこの場でみんなで話し合えばいい」
といったやりとりがしばらく続く。最終的に、「敷地内の駐車スペースで話す。代表者を10人選び、あとは後ろで聞いている」ということで妥結。

まず、5月2日の撤去の模様をあらためて報告し、事実確認を行なう。阿部は、やりとりの幾つか以外、大筋を認める。
また、抗議申し入れ、弁護士有志による申し入れ、人権救済申し立てについては、「認識していた」と明言した。
「承諾書については、人権救済申し立てを当事者が行なっており、承諾の意志を撤回していた。それを承知で、なぜテント撤去をしたのか」と聞くと、公園事務所、特に阿部は「本人に承諾書を取った上で、都市公園法に基づき、合法的に撤去したまでだ」と繰り返し、反省の様子は一切なし。承諾書の強引な取り方、その法的な根拠についても、公園事務所は「あなたたちとは見解がちがう。話しても仕方がない」という対応に終始した。
上司である公園事務所長は着任したばかりで、事実上、阿部の言うがまま。
当日、テントの当事者が「(荷物を出すから)ちょっと待て」「昼間まで待て」と言ったにかかわらず全く待つことなく撤去・廃棄した点については、阿部は「午後から予定があり、時間がなかった」と言った。
この点について所長たちの見解をただしていくと、阿部以外の人間は「今後、本人が持って行くなと言った物については撤去しない」と明言した。にもかかわらず、相変わらず阿部は「通告した期日が過ぎれば、置いてある物は撤去する」と言い、みんなの怒りを買った。
撤去した荷物については、「荷物はすでに焼却されたはずだ。返却できない。リストアップもしていない。弁償はしない」。
「当日に不在だった人は、友人の遺骨や現金も捨てられた。どうするんだ」と言うと、「どうしようもありません」という返答。
問題の承諾書について「本人が撤回することは可能なのではないか」とただすと、公園事務所はその可能性を認めた。

最終的に公園事務所と合意したのは、
「本人の同意なしにテントの撤去はしない」
「承諾をもとに撤去するとしても、当日に本人が「これは持って行くな」と言った物件については手をつけない」
「承諾書を撤回するということはありえる。その場合、本人が申し出れば公園事務所は話し合いを持つ」
「今後、問題が生じたときには公園事務所のたきもと氏を窓口として話し合いを持つ」
荷物の弁償、当事者への謝罪については、最後まで応じなかった。

最後に抗議文を読み上げ、手渡した。公園事務所長は「受理するのではなく預かるだけ」などと言いつつ受け取った。
終了は1時頃。

天王寺公園事務所は、自らの計画にしたがって管轄公園からのテント撤去を続けると言っています。
「行き場のない野宿者のテントを撤去するな。公園事務所の行動をわれわれは監視する。今回の件については裁判も考えている。同様の事をすれば、またこうして抗議に来る」と釘を刺しました。承諾書の撤回を認めさせたことも含め、それなりの歯止めになるかもしれません。
日本橋公園から追い出された当事者への支援をできる限り続けながら、多くの団体・個人と連携し、どのような対抗策が可能かを検討していきたいと思っています。


抗 議 文

大阪市ゆとりとみどり振興局長殿
天王寺動植物公園事務所長殿

 5月2日、大阪市・天王寺動植物公園事務所は、同市浪速区に所在する日本橋公園で野宿生活をおくる5名の労働者の4軒のテント・小屋を、暴力的に破壊・撒去し、同5名の野宿労働者の所有する所持品や生活必需品などを撤去するに至った。
 天王寺公園事務所によるこの行為は、明らかに、違法なものである。
 よって、私たちは、ここに、天王寺公園事務所に強く抗議するものである。
 天王寺公園事務所は、この間、前記日本橋公園で野宿生活をおくる労働者らに「撤去承諾書」なるものに署名することを連日のごとく強要し続けてきた。大阪市行政が、公園で野宿生活をおくらざるをえない労働者に、テントをたたんで公園から立ち去ることを求めるならば、当然にして、労働者がその後野宿することのない「対策」を労働者に示し、本人と十分に話し合い、本人の真の同意を得て、ことを運ぶべきである。にもかかわらず、日本橋公園において天王寺公園事務所は、こうした行政の義務と責任を果たすことなく、ただただ追い出しをはかるという暴挙を行ったのである。
 天王寺公園事務所の不当な対応に対し、同労働者と支援団体・野宿者ネットワークは、4月20日に大阪市弁護士会に「人権救済申立」を行っていた。また不当な排除を即刻中止するよう支援団体(野宿者ネットワーク・釜ヶ崎医療連絡会議・釜ヶ崎キリスト教協友会・釜ヶ崎パトロールの会・釜ヶ崎反失業連絡会・長居公園仲間の会・西成公園よろず相談所の連名)や弁護士などの法律家有志が、再三「申し入れ」を行っていた。5月2日の違法な天王寺公園事務所による撤去行為の現場責任者である天王寺公園事務所・阿部課長もその事実を認知していた。
 にもかかわらず、5月2日、天王寺公園事務所は、阿部課長ら十数名により、日本橋公園の野宿労働者とその生活の基盤であるテントを撤去・破壊・排除したのである。天王寺公園事務所による同日の行為は、事前に、労働者に一切知らされていない。また、同日においてすら、労働者に一切の告知もなく、いきなりテントの破壊にはいるという非道なものであった。
 そのため、公園事務所がはじめに破壊を始めたテントには、2名の労働者がテントの内部にいたのである。天王寺公園事務所は、それを知りながら、テント破壊を強行した。しかも「ちょっと待てや」と訴える労働者の声を無視し破壊を続行し、その労働者が着の身着のままの状態でテントから出ざるを得ない状況に追い込んだのである。
 また、4軒のうちの1軒は、居住する労働者が不在であったため、本人が最低限必要とする所有物を持ち出すこともできなかった。
 この一連の天王寺公園事務所の撤去行為は、野宿労働者の人権を認めず、野宿労働者の生き抜くためのテント・所持品を奪いさる違法行為である。テント内部に野宿労働者が存在するままにテントを破壊するなど、およそ人道上、断じて許されるものではない。公園を追われた野宿労働者、しかも生活用品まで奪われた野宿労働者に、路上で野たれ死にを強要するものである。
 天王寺公園事務所は、テント撤去後、テントが位置した場とその周囲に、杭を打ち込みロープを張りめぐらし「立入禁止」を明示した。よって、その場所は、誰一人、使用することができない場となっている。地域住民も含め誰一人立ち入ることができない場を公園内に「設置」する公園事務所の行為は、「野宿労働者のテントが公園使用を妨げている不法占拠物件」と言う公園事務所の言辞を自ら破綻させるものであり、野宿労働者のテントを撤去する根拠ではあり得ないことを自らの行為で明かしているといえる。
 付言すれば、天王寺公園事務所管轄の複数の公園で、このような「立入禁止」箇所が設けられ、公園敷地全域をフェンスで囲い込んでいる公園すら存在しているのである。
 天王寺公園事務所による野宿労働者排除の行為は、この間、天王寺公園などでも強行されており、多くの野宿労働者は、生命を支える生活基盤を奪われ、路上での生活を強いられている。野宿労働者に「死ね」と言わんばかりの暴挙である。天王寺公園事務所は、ただちに、不当かつ違法な撤去をやめよ!
 天王寺公園事務所は、違法な撤去行為によって持ち去った日本橋公園野宿労働者5名の所持品を、ただちに本人に返還せよ! テントを元通り復元せよ! 5名の野宿労働者に謝罪せよ!
 以上、強く抗議するとともに申し入れる。
                              
2006年5月8日                   
野宿者ネットワーク
5月8日天王寺公園事務所抗議行動参加者一同                




日本橋公園のテント破壊(2006.5.3)


野宿者ネットワークが夜回りをしている日本橋公園(大阪市浪速区)で、大阪市によるテントの強制排除が2日に行なわれました。
以下は野宿者ネットワークMLの報告(一部変更)。

9時20分に日本橋公園から電話があり、「阿部(天王寺公園事務所施設管理担当課長)が来ている」。
すぐに行って、9時35分頃着いてみると、行政が10人程度来て、一番北の兄弟のテントを完全に破壊、撤去して車で運び出しているところだった。
本人の話。
「テントの中にいると、いきなりテントが壊され始めた。襲撃かと思った。外を見ると、役人が「つぶす」と言ってきたので、「ちょっと待てや」「昼からやれ」と言ったが、行政は無視してテントを壊し続けた。着の身着のままでテントを出た。そのため、食料、コンロ、鍋、下着など、生活必需品をほぼすべて廃棄された。」
現場で行政に対して大声で抗議したが、阿部は「うるさい」「不法占拠物件を本人に承諾書をとった上で撤去するだけだ」といつもの調子で怒鳴り返す。
テントの一人は不在だった。「本人がいないんだから帰ってくるまで待て。必要な物まで撤去するのか」と言うが、行政は本人不在のままテントを完全に破壊。
野宿者ネットワークのメンバーがもう一人到着し、抗議をする。「違法行為は止めろ」と言うと、阿部は「訴えるなら訴えてみろ。そんなことをすれば誣告罪(ぶこくざい)で訴える」などと怒鳴り返してきた。
行政はテント破壊を続行するので、必要なものをみんなで大あわてで公園の中央に運びだす。
その後、野宿者ネットワーク、釜ヶ崎キリスト教協友会、西成公園よろず相談所、西成公園労働者何人かが現場に駆けつける。
反失業連絡会に電話をし、車を借り、それを使って家財道具を某所に運ぶことにする。
行政はテントを撤去した跡地に杭を打ってロープを張り、「立ち入り禁止」の札をかけて午前中に立ち去っていった。
話し合った結果、一人が従来の方針通りNPO釜ヶ崎に生活保護の相談に行く。他の3人は、某所に引っ越しをする。ただし、すぐ住めるわけではないので、今晩はドヤに入る(ドヤ代はこちらで出す)。生活保護希望の人は月曜まで、他の人はとりあえず今晩だけ。
不在だった人は5時頃帰ってきて大変怒っていた。他のテントの人たちと一緒に「取り出した荷物を車で置きに行こう、今晩はドヤに泊まろう」と言うが、かたくなに一切拒否するので、あきらめる。
作業終了は8時半。
壊されたテントは4。被害者は5人。最初のテント以外は、破壊の様子をビデオ撮影した。
釜ヶ崎キリスト教協友会、反失業連絡会、西成公園よろず相談所、NPO釜ヶ崎など、多くの団体、個人から生活物資や車両の提供など、応援をして頂きました。


日本橋公園のこれまでの経過


2月末、関谷町公園・日本橋公園に大阪市・公園事務所施設管理担当課長・阿部ら数人の公園事務所職員が現われ、「愛染公園もテントはなくなった」「この公園もそろそろ出て行って欲しい」「3月末には公園から出て行ってもらわないと困る」などと公園労働者に一方的に通告してきました。その後も繰り返し同様の通告を強圧的に行ない、半強制的に「テント撤去の誓約書」を書かせました(当人たちは「公園を出ても行く場所はないから書きたくなかったが、寒い中、4〜5人に40分近く取り囲まれて「不法占拠だから出て行け」と強く言われ、書かないと許されない雰囲気だった」と言っている)。
また、他の幾つかの公園でもこうした恫喝によって誓約書をとりつけ、それによって公園からの追い出しを続けています。
事実、天王寺公園近辺でも、4月17日に強制撤去が実施され、該当地区の30人のうち約10人が生活保護になった他は、すべて追い散らされています(自立支援センターに行った人はゼロ。小屋を失った人は「リヤカーで寝るしかない」と言っていた)。
こうした天王寺公園事務所の動きに対し、「野宿者ネットワーク・釜ヶ崎医療連絡会議・釜ヶ崎キリスト教協友会・釜ヶ崎パトロールの会・釜ヶ崎反失業連絡会・長居公園仲間の会・西成公園よろず相談所」の連名で抗議文を出しました。
また、弁護士有志の連名によって「不当な排除を止めよ」という申し入れを大阪市ゆとりとみどりの振興局・天王寺動植物公園事務所に対して行なっています。
4月20日には、野宿者ネットワーク、野宿当事者による「人権救済申し立て」を大阪弁護士会人権擁護委員会に対して行ない、さらに釜ヶ崎の労働センター、大阪市役所前で排除中止を求めるビラまきを行ないました。
(これらは下に全文があります)

人権救済を申し立て、実際にテントに居住している状態で行政は無理矢理に強制排除を行なってきました。公園で工事予定があるわけでもなく、単に「不法占拠だから公園から出て行け」という理由でした。
日本橋公園の野宿者と近隣住民との関係は非常に良く、近所のマンションの住人の犬を夜の間テントで預かったり、逆に住民がテントの人の犬を散歩させたりという交流が続いていました。公園の清掃も毎日行ない、近隣住民から「あんたたちがいると公園がきれいで助かる」「あんたたちがいるから公園に夜来ても安心だ」と言われていました。野宿しているために近隣住人に著しい迷惑をかけたという事実は全くありません。テントの強制排除のあと、近隣住民の一人が「行政のやり方はひどすぎる」と憤っていました。追い出された当事者は、もちろん「行政、特に阿部は許せない。絶対このままでは堪忍できない」と言っています。

公園の当事者とは、2月以来現場で繰り返し話し合い、「行政のやり方はひどすぎる。公園を出てもいくあてがない」という声を受けて、不当な追い出しを拒否するという姿勢で、できる限りの支援を行なおうとしてきました。しかし、結果的に着の身着のままに近い状態でのテントの破壊、撤去という結果になったことについて責任を感じています。
今後、追い出された当事者の生活を支えると同時に、裁判を含めて天王寺公園事務所への抗議活動を行なっていく予定です。

今年に入ってからの天王寺動植物公園事務所の公園からの野宿者追い出しの動きは突出しています。おそらく、管轄公園からの野宿者の完全排除を目標として動いているのでしょう。野宿解消の手だてを示すこともなく、路上で野宿するしかないことを承知の上でのテントの排除は、あまりに非道です。こうした動きを阻止するため、多くの団体・個人と連携しながら、対抗策を立てていきたいと思っています。


↓テントの撤去の後は、杭を打ってロープが張られた。テントを撤去しても、公園のこの場所は誰にも使えない。


人 権 救 済 申 立 書
(2006年4月20日郵送)


申立人名  野宿者ネットワーク(連絡先)

申立人名    A
生年月日    昭和28年○月○日

申立人名    B
生年月日    昭和24年○月○日

申立人名    C
生年月日    昭和21年○月○日

申立人名    D
生年月日    昭和39年○月○日

相手方   大阪市ゆとりとみどりの振興局

相手方   天王寺動植物公園事務所

申立の趣旨
相手方らに対する警告を求める。


申立の理由

1 当事者

  申立人A、同B、同C、同Dらは、相手方公園事務所管轄下の日本橋公園内で生活する者である。
  申立人野宿者ネットワークは、夜回り等を通じ、上記申立人らを支援する者である。

2 事実経過

(1)平成18年3月2日、相手方公園事務所課長、係長をはじめとした職員ら4、5名がAのテントを訪れ、Aに対し、「うつぼも大阪城も出てるし、おたくらも出て行け。3月いっぱいで出て行ってもらう。」などと申し向け、添付の承諾書に記載するよう求めた。
   Aが、他の人も出て行くのか、と上記職員らに問うたところ、同職員らは、3月いっぱいで全員撤去にする、と断言し、再度、上記承諾書に署名するよう求めた。
   上述したような上記職員らの話は30分以上も続き、寒い時期、立ちっぱなしで話すことを強いられていたことにも起因して、Aはやむを得ず、上記承諾書に署名した。
(2)(1)と同時期、相手方公園事務所職員らが4、5名で、Bのテントを訪れ、Bに対し、添付の承諾書に署名を求めた。
   Bが、「みんな(他の日本橋公園内に起居する者)、(上記承諾書を)書いているのか?」と問うと、事実承諾書に署名していない者がいるにもかかわらず、上記職員らは、書いている旨答え、再度上記承諾書に署名を求めた。
   Bは、工事現場で働いていた頃の後遺症を有しているため、相手方公園事務所職員らに対し、治療のために良い病院を紹介してくれ、治療も受けずに他の所に移ることは出来ないなどと申立てたところ、同職員らは、「(病院を)探しておく、だから、上記承諾書に署名してくれ。」などと述べた。
   このような経緯で、Bは、上記承諾書にやむを得ず署名した。
(3)Cの下には、2月末に1度、3月2日に1度、相手方公園事務所職員らが4、5名で訪れ、「もう少ししたら、撤去を言いに来るよ。」などと申し向け、承諾書記載を求めた。
   (1)の経過と同様、Cも、寒い中、相手方公園事務所職員らが、3、40分ほど帰らず、承諾書記載ばかりを求めることから、やむを得ず、承諾書に記載した。
(4)Dは、4回にわたって、相手方公園事務所職員らの訪問を受け、「行くとこありません。」と承諾書記載を断っていたが、同職員らは「何回でも来ます。」などと、しつこく添付の承諾書記載を求めた。
   Dの下を訪れた相手方公園事務所職員らも、3、40分は「(承諾書に)サインしろ、サインしろ。」と粘り、Dが「サインすることは、出来ない」とテント内に入ると、同職員らが、「人が話しているのに、中に入るな。」などと申し向け、再度、上記承諾書記載を求めた。
   このような経過から、Dも、やむを得ず、上記承諾書に署名した。
(5)日本橋公園には、居住者不在のため撤去されたテント跡がいくつかあるが、そのいずれについても、「立入禁止」とテント設置場所全体を囲むロープが張られており、この場所に他の遊具を設置するなど、この場所を市民が有効に活用することは出来ない状況にある。
   しかも、同公園の周辺住民は、公園内で起居を強いられる申立人らに対する理解があり、申立人らの飼育する犬を散歩に連れて行くなどといった協力を行ってくれる方も、少なからずいる。

3 本件人権侵害行為

(1)テント・小屋掛けに住んでいる申立人らは、失業・病気・高齢化などにより、家賃を支払えるだけの収入が得られる仕事につけず、福祉の対象ともされないまま、やむなく日本橋公園に居住の場を定めたものである。それぞれが、精一杯、露天商などの仕事をし、不十分ながら、生計を維持している。
しかしながら、相手方公園事務所職員らは、当事者たちに一方的に撤去要求を強制するのみで、代替住居を提供することもなく、日本橋公園において看過しがたい人権侵害行為を強硬しようとしている(添付の申入書参照)。
(2)憲法、自立支援法、生活保護法違反
相手方公園事務所職員らをはじめ、同職員らを黙認する大阪市やゆとりとみどり振興局(以下、「相手方ら」)の行為は、まず現行法規であるホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(以下、「自立支援法」)にすら、違反する。
自立支援法11条には、「都市公園その他の公共の用に供する施設を管理する者は、当該施設をホームレスが起居の場所とすることによりその適正な利用が妨げられているときは、ホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を図りつつ、法令の規定に基づき、当該施設の適正な利用を確保するために必要な措置をとるものとする」とある。
よって、自立支援法上、相手方らは、立退きを実施する前提として、憲法は勿論、生活保護法上の要請という法令の規定を十分考慮して、居宅保護の実施というホームレスの自立の支援に関する施策を検討しなければならないことが明らかだというべきである。
しかしながら、相手方らは,憲法25条を法律上具体化した生活保護法30条1項が居宅保護を原則としていることを無視し、敷金支給による居宅を確保した上での居宅保護開始という代替措置を、当事者らに充分提供することのないまま、立退きのみを実施しようとしている。
また、前記事実経過でも明らかなとおり、相手方らは、自立支援センター等を紹介することさえせず、しかも、申立人らと接触をして来た市内の巡回相談員とすら連携をすることなく、立退きを強要している。
したがって、相手方らの行為は、生活保護法、憲法に違反し、自立支援法にも反する。
(3)社会権規約違反
上記自立支援法制定時の付帯決議には、11条について「必要な措置をとる場合においては、人権に関する国際条約の趣旨に十分に配慮すること」とあった。また、憲法98条2項は「締結した条約、確立された国際法規はこれを誠実に遵守することを必要とする」としている。
したがって、この「法令の規定」には、行政代執行法だけでなく、生活保護法、憲法、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(以下、「社会権規約」)も含まれる。
また、日本は、1979年に国際人権規約の社会権規約と自由権規約との二つの条約を批准しており、前述した憲法98条2項に鑑みれば、これを誠実に遵守する義務がある。
社会権規約11条1項は、「この規約の締結国は、自己及びその家族のための相当な食糧、衣類及び住居を内容とする相当な生活水準についての並びに生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利(居住権)を認める」としている。
この居住権の内実を示すため、国連社会権規約人権委員会は、「一般的意見」を公表しており、同意見第4−7は、11条1項「十分な住居に対する権利」について、「安全・平和及び尊厳をもって、ある場所に住む権利とみなされるべきである」としている。
そして、同意見第4−8項aは、「占有の種類にかかわらず、すべての人は、強制退去、嫌がらせ及び他の畏れに対する法的安全を保障する程度の安全を有するべきである。締結国は従って、影響を受ける人及びグループとの真の協議によって、現在そのような保護を欠いている人及び家庭に対し保有の法的安全を与えるための即時の措置を取るべきである」と占有の法的保障を明言している。
さらに「強制退去」に関する一般的意見第7−1で「強制退去は規約の要求にしないと推定されるという結論を出し」、一般的意見第7の13項では「懲罰措置としての強制退去及び住宅破壊もまた、規約の規範と合致しない。」と明確に示している。
そして、権利に対する制限には高度の正当化事由が必要であることを確認した上で(一般的意見第7−6、社会権規約4条)、強制退去が認められる場合について、厳しい要件を課している。
すなわち、「退去が正当化されると考えられる場合は、国際人権法の関連規定を誠実に遵守しかつ、合理性及び比例性の原則に従って行われるべきである」(一般的意見第7−15)として、@適当な手続的保護及びデュー・プロセス(一般的意見第7−16)、A十分な代替的住居、生産的な土地への再定住又はアクセス確保のための適切な措置(一般的意見第7−17)を求めている。
一般的意見は、@で保護される手続として、(a)影響を受ける人との真正な協議の機会、(b)退去予定日の以前の、影響を受けるすべての人に対する十分かつ合理的な通知、(c)提案されている退去に関する情報及び、あてはまる場合には、土地又は住居が使用される代替的目的に関する情報が、影響を受けるすべての人に対して合理的期間内に利用に供されること等を内容としている。
しかしながら、前述した事実経過のとおり、相手方公園事務所職員は、代替的住居を提供しようとしないばかりか、立退きを正当化する根拠など一切説明しないまま、一方的に承諾書記載を押し付け、一定期日に退去を求めようとしている。
したがって、公園事務所職員や同職員を放置する振興局や大阪市の行為が、居住権を侵害し、社会権規約に反することは勿論、2001年8月30日に採択された、「とりわけホームレスの人々のその仮住まいからの強制立退き〜について懸念する」と再確認された社会権規約委員会総括所見30に真っ向から反するものである。

4 結語

天王寺動植物公園事務所長らは、度重なる戸別相談及び承諾書記載の強要によって、テント・小屋掛けの野宿者に不安感と脅威を与え、代替住居の提供もないまま、公園からの退去を無理強いするものである。
よって、本来野宿者の人権を守るべき行政による、違法な人権侵害に対し、貴委員会に救済を申し立てる次第である。
以上


添付資料
     1 承諾書            1通
     2 申入書            1通

天王寺動植物公園事務所への抗議文・法律家一同による申入書(2006.4.2)


抗議文
天王寺動植物公園事務所長殿

2月末、関谷町公園・日本橋公園に大阪市・公園事務所施設管理担当課長・阿部ら数人の公園事務所職員が現われ、「愛染公園もテントはなくなった」「この公園もそろそろ出て行って欲しい」「3月末には公園から出て行ってもらわないと困る」などと公園労働者に一方的に通告してきた。その後も繰り返し同様の通告を強圧的に行ない、日本橋公園の一テントについて半強制的に「テント撤去の誓約書」を書かせている(当人は「公園を出ても行く場所はないから書きたくなかったが、「不法占拠だから出て行け」と強く言われ、書かないと許されない雰囲気だった」と言っている)。また、他の幾つかの公園でもこうした恫喝によって誓約書をとりつけ、それによって公園からの追い出しを続けていると聞いている。
われわれは公園労働者に対するこうした排除の恫喝に対して抗議する。特に、今回の排除恫喝は「公園工事」の予定すらなく単に「邪魔だから出て行け」というものであり、その非人間的な態度は許しがたい。また、法的に意味のない「誓約書」なるものを半強制的に書かせて追い出そうとするやり方はあまりに非道である。
そもそも、公園から野宿者を追い出しても、行く場のない野宿者は他の公園や路上に行くしかないのだから、何の問題の解決にもなっていない。行政はその責任において、憲法の言う「生存権」と生活保護法に則って、生活保護の適用あるいは仕事の紹介による公園労働者の生活保障を行なうべきである。「不法占拠」を言う前に、自分たち自身が憲法と法律を守るべきではないのか。

天王寺動植物公園事務所は、公園からの野宿者の追い出し恫喝をただちに止めよ。

法的に意味のない「誓約書」なるものを書かせることを止めよ。

野宿者ネットワーク
釜ヶ崎医療連絡会議
釜ヶ崎キリスト教協友会
釜ヶ崎パトロールの会
釜ヶ崎反失業連絡会
長居公園仲間の会
西成公園よろず相談所



大阪市 ゆとりとみどりの振興局 御中
天王寺動植物公園事務所 御中
申 入 書
賛同者一同

 我々は、路上での法律相談等を通じ、ホームレス問題に取組んでいる法律家一同です。今般、大阪市内の関谷町公園、日本橋公園、西梅田公園等において、同公園事務所職員が、ホームレスの人たちのテントを個別に訪れ、「愛染公園もテントはなくなった」などとして、大阪市内の公園にはテント撤去が強制されているかのような言い回しを行って、「テント撤去の誓約書」を取った上、誓約書記載の期日にテントを撤去しているとの情報を得ましたので、本申入れに至った次第です。
 貴局及び貴所としては、当然ご存知のことと思いますが、ホームレスの人たちにとって、各人のテントは、生命を守るため最低限必要な生活の本拠ですし、同テント内には、寝具、調理器といった、個別の財産的価値のある各物件が置かれています。
また、上述した誓約は、「告」と題した「所有者は平成18年3月31日までに撤去するよう通告します」との内容の文章を差し置いた上で、公園事務所職員が多人数で訪れている状況下で行われているとのことですし、上記誓約ないし同意の結果、ホームレスの人たちは、厳寒の中、テントのない状態で、別の場所に追いやられることになるのですから、このような同意をもって、テント撤去の真摯な同意があったとすることは、極めて疑わしいと言わざるを得ません。
また、仮に上記誓約書が有効であったとしても、ホームレスの人たちのテントを撤去することは、違法である疑いが極めて濃厚です(大阪弁護士会1月25日付会長声明参照)。
 ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(以下「ホームレス自立支援法」という)11条は、都市公園その他の「施設の適正な利用を確保するために必要な措置をとる」ためには、「当該施設」の「適正な利用が妨げられている」ことを要求しているところ、前述したテントは公園を部分的に利用しているに過ぎず、同テントがあるからといって、当該公園の適正な利用が妨げられているとは到底言えません。
加えて、ホームレス自立支援法11条は、「ホームレスの自立の支援等に関する施策との連携を図」ること、「法令の規定に基づ」くことも必要であるとしています。
ここにいう「法令の規定」には、憲法、条約・国際法規、生活保護法などの諸法令が含まれるところ、わが国も批准している経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約11条は、「相当な食糧、衣類、及び住居を内容とする相当な生活水準についての並びに生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利」を保障しています。
そして、適切な居住の権利は、@高度の正当化事由、A影響を受ける人々との真正な協議等の適正手続、B自国の利用可能な手段を最大限用いた適切な代替住居の提供という3要件を欠く強制立退きを禁止しています(国連社会権規約委員会の一般的意見第4及び第7等)。
@新聞報道によれば、大阪市内で行われている強制立退きは、「全国都市緑化おおさかフェア」と「世界バラ会議」といったイベントに向けてのものだとされていますが、こうした「美観の確保」は、高度な正当化事由とはなりませんし、工事のために全てのテントを撤去する必要があるのかでさえ明らかではありません。
A前述した「告」と題する文書を差し置き、行政職員としての立場を利用して、誓約書を回収するという手続では、真正な協議等の適正手続を経たと言えないことは勿論ですし、居宅保護の提示のないまま施設への入所勧奨をいくら行っても、真正な協議等を経たといえません。
B生活保護法30条が居宅保護(アパート等での生活保護)を原則としている以上、わが国における適切な代替住居の提供は居宅保護の実施が原則とされるべきところ、居宅保護の提示をせずに、入所・設置期間が限定されたプライバシーのない集団生活を強いられる自立支援センター等への入所を勧奨するだけでは不十分です。
したがって、前述した誓約書回収によるテント撤去が行われているのだとすれば、国連社会権規約委員会の一般的意見第4及び第7等に反するものであって、自立支援法11条及び社会権規約11条等に違反する可能性が極めて高いことになりますから、直ちに止めて頂きます様、貴局及び貴所において周知徹底して下さいます様、申し入れます。
以上

行政代執行に関するメール(2006.2.2)

靱公園・大阪城公園の行政代執行の報道とともに、野宿者ネットワークのホームページにも「団体がホームレスを引き取って保護しては?」「そもそも、路上で生活するという行為は軽犯罪法に違反している」といったメールが何通かきています。
かなり普遍的な疑問と思われるので、そうしたメールへの返信を以下に引用します。


メールをありがとうございます。
疑問にいくらかでもお答えしたいと思います。

一つは、
「確かに、中には「ホームレスを望んではいないが、止むを得ず路上生活しなければならない」という人もいるでしょう」という点です。これは前提となる事実の問題ですが、
2003年の厚生労働省による調査では「路上生活に至った理由」として、
「仕事が減った」が 35.6%、「倒産・失業」が 32.9%、「病気・けが・高齢で仕事ができなくなった」が 18.8%とされています。
つまり、事実上「失業」による野宿がほとんどです。わたしたちは毎週夜回りをし、そのほかにも日常的に野宿をしている人たちと関わっていますが、そこで出会う野宿者の多くが「仕事さえあればこんなところ(公園・路上)で寝ていない」と言っています。というより、その人たちは仕事があった時は野宿していませんでした。事実として、野宿者とは失業者のいわば最終形であり、根本的に就労問題なのです。
また、各種の調査で明らかなように、そして夜回りなどをすればすぐに分かるように、野宿者の大多数はアルミ缶やダンボールを集めて生活しています。アルミ缶の場合、1個集めて1.5円、つまり100個集めて150円という収入です。1日中探し続けても1000円いくかいかないかという超低賃金重労働です。そんな割に合わない仕事をしているのは、ひとえに「他に仕事がないから」です。
実際、野宿者が激増したのはこの10年間ですが、それは失業率の推移とほぼ平行していました。「ホームレスはしたくてしているだけだ」という意見はよく聞きますが、もしそれが正しければ、この10年の間に日本で野宿が好きな人が突然増えたということになりますが、そんな奇怪な話はありえません。

▼「そもそも、路上で生活するという行為は軽犯罪法に違反しているということをご存知でしょうか。」
知っていますし、野宿をしている人たちも知っています。問題は、ではどうすればいいのかということです。
路上や公園などの「公有地」で生活することは「不法占拠」とされています。しかし、世の中には「公有地」の他には(おおざっぱに言うと)「私有地」しかありません。そして、他人の「私有地」で生活しようとすると、今度は「不法侵入」で訴えられます。まさか他人の家に入って暮らすわけにはいかないのです。

現実に、大多数の野宿者が「仕事と部屋のある生活」に戻りたいと思っています。しかし、そのための手だてがきわめて少ないという問題があります。そもそも、ハローワークに行っても、「住所が野宿状態」では相手にしてくれません。また、仮に就職できたとしても、いままでアルミ缶やダンボールを集めていたのに、今度は給料日までの生活費に困ります。つまり、金がないと就職もできません。また、野宿者の多くは50代であるため、そもそも就職先がなかなか見つかりません。

こうした問題を少しでも解決するために、様々な支援団体が努力をしています。まず、大阪全体で路上死する野宿者が毎年200人以上という現実があり、それに対応するため、夜回り、医療相談、炊き出しなどの活動が行なわれています。また、生活保護の手続き、法律相談、職業訓練の支援、無料宿泊なども行なわれています。
「団体さんがホームレスの方々を引き取って保護されてはいかがですか?」とありますが、大阪だけで1万人近くの野宿者がいる以上、わたしたちの限界は別としても(自分たちなりに時間とお金をつぎ込んで活動していますよ)、そうした手段で問題が解決するわけがありません。そもそも、失業問題が根底にある野宿者問題は、社会的な就労問題・社会保障問題として解決するしかありません。善意の個人が引き取ればよい、という考え方は明らかにちがいます。野宿者問題を「個人の責任」「自業自得」という考え方がよくありますが、「引き取ればよい」というのは、野宿者問題の解決策を「支援者の責任」にしてしまっているだけです。
例えば震災で家を失った被災者へのボランティア活動をする人に向かって、「支援するなら被災者をおまえの家に引き取れ」などと言う人がいたら完全におかしいと思いますが、それとほとんど同じです。

また、新聞などで報道されたように、行政は「野宿者は自立支援センターに入れ」と言っています。この施設では、最大で半年間いることができ、そこから仕事を探すことができます。いまのところ、ここからの就職率は40〜50%とされています.。ただし、就労の内訳を見ると、常雇いではなく臨時雇いの清掃員やガードマンが多いという特徴が出ています。
この自立支援センターに入ることももちろん可能ですが、ここから就職できるのは「年齢が若い人」「使える資格がある人」に集中します。つまり、まだ若いとか、使える資格を持っているとかいう人はそれなりに行く意味があるのですが、そうでなければ3ヶ月(あるいは半年)たって野宿に戻る可能性がきわめて高いのです。もちろん、自立支援センターに入るときは公園のテントをたたんでいくので、野宿に戻ると寝場所探しからまた始めなければなりません(また、自立支援センターの多くは「二段ベッドの10人部屋」という居住状態で、数ヶ月でも生活し続けるのはかなり大変だと言われています)。そして、自立支援センターの定員は大阪で数百人ですから、文字通りの「焼け石に水」状態なのです。
野宿者問題に関わっている人ならみんな知っていることですが、野宿者の多くは「50代で、入院するほどではないが体がどこか悪い」という人が大多数です。つまり、自立支援センターに行っても就職の可能性が少ないし、かといって生活保護を申請しても通る見込みがほとんどないというケースばかりです(行政は、50代の野宿者の生活保護申請はほとんど門前払いしてしまうか、申請を受けても「就労努力がない」という口実で数ヶ月で切ってしまうことが多いのです)。つまり、簡単に「乗れる」話ではないという現実があります。

ではどうすればいいのかというと、「働ける人には仕事を紹介する。あるいは職業訓練をする」「仕事のできない人には生活保護を適用する」ということだと思います。
「生活保護法」は、ご存じのように「国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行ない、その最低限度の生活を保障する」もので、憲法25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という「生存権」の規定に基づいています。
野宿者とは、失業の結果、住居を失い、月収が平均2〜3万円しかないという「究極の貧困」問題です。もちろん、生活保護の対象です。しかし、野宿者が福祉事務所に相談に行くと、たいてい、こう言われて追い返されていました。「あなたはまだお若いじゃないですか。まだ働けるでしょう」「あなたには住む家がないじゃないですか。住所のない人には生活保護はかけられませんよ」。
 今まで行政は、生活保護の適用は「住所があって」「60〜65歳以上」の人に限るという方針を採ってきました。実は、これは法律的根拠がまったくないただの「慣例」です。住所があって収入がなくなった人については保護をかけるのに、住むところさえ失った野宿者には生活保護を拒否するという、わけのわからない対応が今までまかり通ってきました。
野宿者への生活保護の適用のため、様々な支援者・団体が活動しています。一緒に役所に行き、役所と相談し、アパートを探し、などの活動によって、部屋のある最低限度の生活を取り戻しています。その上で、再び就労していく人もいます。
「路上で生活するという行為は軽犯罪法に違反している」という話がありましたが、それ以前に行政が憲法と法律(生活保護法)を遵守していないという現実があるのです。
また、いわゆるホームレスは欧米では日本とは桁違いの多さです(例えば2004〜5年の冬季、ニューヨークでは39000人がシェルターで寝ており、さらに数千人が路上で寝ています)。しかし、先進国で日本ほど路上で人が野宿している国はないと言われています。多くの国では、生活保護水準に近いシェルターを公的、私的に運営しており、ほとんどのホームレスはそこで夜を過ごしているからです。

野宿者問題にとって最大の課題は「仕事」です。例えば、ビッグイシューのように野宿者自身が路上で雑誌を売る事業が最近現われています。そうした野宿者支援の会社の起業は、欧米では珍しくありませんが、日本でもようやくそうした起業家が誕生してきているのです。
また、わたしたち野宿者ネットワークが属している「釜ヶ崎・反失業連絡会」は、大阪府・大阪市との交渉の結果、55歳以上の野宿者を対象に、道路や公園、保育所の掃除・整備の仕事を公的に出す「公的就労」を実現しています。これは、輪番制で3000人ほどの野宿者が登録して、順番に一日5700円の仕事をしています。いままで整備がされていなかった公園、予算がつかないためにボロボロだった保育所がきれいになり、「こっちも来てくれ」「あっちも行ってくれ」と非常に好評です。仕事をしたくてもできなかった野宿者が社会に役の立つ仕事をして、それでお金が少しでも入るのですから非常にいい事業です。
しかし、この事業によって野宿者が仕事に就けるのは一ヶ月に3回程度です。つまり、月に入るのは1万6000円ぐらいです。これは野宿を脱するほどの収入にはならず、あまりに中途半端な規模です。この事業のための予算は数億ですが、以前に大阪市の職員への厚遇問題で100億円以上のカットが検討されたことを考えると、お金の使い方が何か間違っているのではないかと考えざるをえません。

そもそも、行政代執行で野宿者を公園から追い出しても、行き場所のない野宿者は他の公園や道路に行くだけで何の解決にもなりません。野宿者にとって、そして支援者にとって、最も望ましいのは「仕事と部屋のある生活」に戻ることです。近隣の住民にとってもそれが最も望ましいはずです。つまり、全員の希望は一致しています。ただ、行政がおもいっきり中途半端な対策しか出さないため、野宿当事者と住民に不必要な軋轢が生じ続けているという面があると思います。
もちろん、わたしたち支援者の力不足は常に痛感していることです。今後とも力を尽くしていきたいと思っています。

野宿者ネットワーク


西成公園もちつき大会(2006.1.1)

元日、西成公園で恒例のもちつき大会を行ないました。
西成公園は、工事がらみの排除問題が続いていますが、最近は大きな動きはなく比較的平穏に過ぎています。この日は、西成公園よろづ相談所、釜ヶ崎キリスト教協友会の「越冬セミナー」参加者、越冬闘争に連帯する学生青年実行委員会、沖縄日雇労働組合から手伝いがあり、料理の準備やもちつきで助けて頂きました。公園からも多くの手伝いや参加者がありにぎわいました。例年のように、トゥーヌマーヌの歌もありました。
餅米を炊いて、みなでもちつきをし、料理を作って食べ、トゥーヌマーヌによる歌を聞き、みなで指名し合って歌いました。今年もよろしくお願いします。



第2回 野宿者ネットワーク主催セミナーへの案内


‘ホームレス’ってどんな人?
     〜一緒に考えよう!野宿者問題〜

街のあちらこちらで見かける‘ホームレス’。   
現在、日本には3万人を超える野宿生活者がいると言われています。なのに、‘ホームレス’と呼ばれる人たちのことを知っている人はあまりいません。それどころか、社会の目は差別と偏見に満ち、若者によるホームレス襲撃や排除も後を絶ちません。
今回のセミナーでは、野宿者ネットワークの活動の中から見えてきた事柄を中心に、野宿生活者の生活の様子、また‘ホームレス’をうみだす社会のしくみや行政の対応、襲撃の実態、野宿者支援のとりくみなどを紹介しながら、みなさんと一緒に野宿者問題を考えたいと思います。

セミナーでは
野宿者ネットワーク制作 ('05,11月発行:本屋さんでは販売していません)
『一緒に考えよう野宿者問題』 〜教室で子どもたちと学ぶ先生のためのハンドブック〜
をテキストとして使用します。


☆日 程: 2006年5月6日(土)13:00〜17:00 (12:30〜受付を行います)
*希望者はセミナー後に釜ヶ崎内のフィールドワーク  17:00〜18;30
*毎週土曜日の夜は19:30から夜回りを実施しています。
 参加を希望される方は申し出てください。

☆内 容:1.襲撃について 
2.排除について 〜1.30なぜ公園にいることを求めたのか〜
3.野宿生活者のくらし
4.野宿生活者をうみだす社会構造
5.釜ヶ崎と日雇労働
6.ふりかえり

教室で野宿者問題を学ぶための授業の提案もあります。
こどもたちと一緒に教室で「野宿者問題」を学びたいけれど、どんなやり方が良いんだろう?と考えていらっしゃる教員のみなさん。是非、ご参加ください。お待ちしています!
またセミナーでは、支援者だけでなく野宿当事者にも参加していただき、‘ホームレス’と呼ばれる人の生の声を聞きたいと思います。
そして、1.30の靭公園でのできごと。なぜ公園にいることを求め、なぜ座り込んだのか。
新聞やテレビでは報道されなかった当事者の声から、行政代執行について考えたいと思います。

☆会 場: ふるさとの家
大阪市西成区萩之茶屋3−1−10
 JR・南海「新今宮駅」東口下車南へ徒歩8分
市営地下鉄御堂筋線・堺筋線「動物園前駅」E出口下車南へ徒歩8分
*場所がわかりにくい場合は、12:15から12:45までJR新今宮駅・東口の改札を出たところで、ネットワークのメンバーがこのチラシを持って待っています。声をかけてください。

☆参加費: 1000円(ハンドブック&資料代込み)  
        *フィールドワークを希望される方は別途500円をお願いします

☆対 象: 野宿者問題に関心のある方
      
☆定 員: 30名 (うちフィールドワークは15名)
       要申し込み 締め切り4/30(日)
→氏名・連絡先・参加希望動機と、セミナー・フィールドワーク・夜回りの何に参加されるかをお知らせください  

☆主催&: 野宿者ネットワーク(HP http://www1.odn.ne.jp/~cex38710network.htm)
申し込み   E-mail nojukushanetwork@syd.odn.ne.jp
       電話 090-8795-9499
          *電話でのお申し込み及びお問い合わせは8:00〜21:00にお願いします

前回(第1回)セミナーの報告


野宿者ネットワーク主催セミナーの報告
‘ホームレス’ってどんなひと?
  〜いっしょに考えよう野宿者問題〜


 11月2日(日)午後からふるさとの家で、野宿者ネットワーク主催の「野宿者問題を考える」セミナーを開催しました。初めての試みで、どんな人が何人ぐらい参加してくれるのかと不安もありましたが、目立つようにと工夫したまるいチラシやメール、クチコミなどで当日は31名(一般23名・会員9名)と多くの参加があり、参加者のみなさんと、ともに「野宿者問題」を考える時間を持つことができました。
 セミナーは
 1.襲撃について   2.排除について   3.野宿生活者のくらし
 4.野宿生活者をうみだす社会構造   5.釜ヶ崎と日雇労働 
 6.野宿者問題の授業の提案   7.フィールドワーク(希望者のみ) 

このような内容を中心に、野宿者ネットワークのメンバーが講師となりビデオや写真などを使いながら野宿者問題についての話をしたり、西成公園で生活していらっしゃる藤井さんにも参加いただき、体験や思いなどを話していただきました。支援者だけでなく、セミナーで野宿当事者の話を聞けたことも参加者にとっては大きな学びになったようです。また、このセミナーのために『一緒に考えよう!野宿者問題 〜教室でこどもたちと学ぶ先生のためのハンドブック〜』を作成しました。この野宿者ネットワークのメンバーによる手作りハンドブックも内容がわかりやすいと好評でした。
 *このハンドブックは第2版を作成し頒価500円で販売します。購入希望の方は連絡してくださいね*
 
 今回のセミナーの参加者には釜ヶ崎にはじめて来られた方も多く、釜ヶ崎の街やこの街でいきる人を身近に感じていただけたことを嬉しく思います。また、参加者の多くが野宿者問題を自分自身の問題として、この社会やこの社会でいきる人をどう見てきたか…という視点から考えてくださったことを嬉しく思います。
 そして何よりも、今回のセミナーで参加者のみなさんと出会えたことを嬉しく思います。このセミナーをきっかけに参加者のみなさんが野宿者問題に関心を持ち、それぞれの方法で、野宿者問題解決のために何かを始めてくださることを願っています。 

 なお、野宿者ネットワークではこれからも年2回(春・秋)このようなセミナーを開催する予定です。どうぞ次回をおたのしみに!

★このセミナーの収益は、
  12月24日(土)の夜回りでクリスマスプレゼントとして贈るフェアトレードチョコレートの購入代金とさせていただきました。ありがとうございました。  


◇セミナー参加者の声◇ 〜参加者アンケートより〜      

今回のセミナーにどのようなことを期待していらっしゃいましたか。

・知りたかった。また、人との繋がりなどを広げたかった。
・「まず知ること」です。
・新聞などで知り得ない情報を知る
・野宿者問題に携わっておられる現場の方の生の声を聞きたいと思ったから。
・基本的なことを教えて頂きたい
・野宿者の人たちが、社会の中でどのように扱われているか、どのような苦労をしているか、が特に知りたかったです。あと、支援する側の人たちは、どのような取り組みをしているのかも知りたかったです。
・野宿者の置かれている現状を知り、そこから日本社会全体の問題点、自分の意識の問題を浮かび上がらせたかった。
・少しでも野宿の現状を自分の目で見られたらというのと、断片的な知識でなく一通りとおして(広く浅く)この問題について知れるかな、と思って参加しました。
・(正直なところ)一緒に参加している学生の今後の自主的学習活動の実践、良い動機となれば…です。
・自分で理解を深めていたつもりだが、他人に何故関心を持つのかと言われたら(ほっといたら良いと言われたり)、上手く言い返せない自分を何とかしたかった。
・(若い人達)の意識が、一歩でも現実を見つめられるようになれたらいいと思う。
・教材づくりの参考に
・野宿者の現状
・ホームレス問題の現状
・ホームレスの人々の現状を知ること(ホームレスになる過程など)
・自分にできることを見つけられること
・野宿者問題の解決方法など



ご自分の期待に対して、セミナーはどうでしたか  
期待はずれ          期待通り
1 − 2 − 3 − 4 − 5 − 6

    1…0人  2…0人  3…1人  4…0人  5…9人  6…7人

 ・一回目のセミナーとして良く計画されていました。
・とてもためになりました。
・実際に野宿生活を送っていらっしゃる方のお話しを聞けたり、フィールドワークでまちのしくみを知ることができて良かった。
・普段、新聞などでは見かけない(もしくはあまり大きな記事にされていない)野宿者襲撃への事実が事例を挙げて紹介されたので、野宿者に対する周りの偏見がどれほどのものか、わかったような気がします。
・講師の方々のお話には、納得させられる箇所がたくさんありました。釜ヶ崎の街と暴力団の関係についても聞きたかったです。
・当事者側の思いなど、貴重な話を聞くことができた。フィールドワークでも、実際に歩いてみて説明して頂いて、少しでもリアルに感じられて良かったです。
・良かったです。自己責任化しても、何にも解決にはならないです。
・初めて聞いたことばかりだったけど、とても分かりやすくて良かった。
・とても分かりやすく、今の野宿者の現状または背景が分かり、自分の今後の仕事に活かせて行きたいと思った。
・とても勉強になりました。普段、何気なく聞いたり見たりしていたものを詳しく知れ、今まで気づかなかったことなどたくさん勉強になりました。途中、襲撃の話では胸が痛くなりました。自分は 襲撃にあった人の話を聞いたことがあるので余計つらかったです。明日からでも、子どもたちに野宿者達のことについて話し、勉強していって欲しいと思います。うまく文には表せないのですが、このセミナーに参加して本当に良かったと思います。ありがとうございました。
・今後、深く知るためにも次回、参加したい。
・フィールドワークはとても印象的でした。正直言うと、外国にいるような気がしました。さらに深く学ぶ必要があると思いました。
・頭の中が少し整理できました。勉強になりました。


セミナーの学習内容や進行はどうでしたか
       ダメだった          良かった
       1 − 2 − 3 − 4 − 5 − 6

    1…0人  2…0人  3…1人  4…0人  5…6人  6…11人

・最後のワークは、自分の傾向が出ていてハッとさせられました。
・暖かな雰囲気で良かったです。
・内容、テンポとも良かったです。
・事前に勉強していたのですが、色々知らないことが多くて改めて考えさせられました。
・最後にやったワークショップなど初めての経験だったので戸惑いましたが、他の人と協力して「自分が良ければそれで良い」と思わない事が大切だと改めて実感できました。
・セミナーの最後のゲームは、おもしろく且つ身をもって社会構造の一端を実感することができた。
・司会の方や発言取り込み含め、良かったです。
・ちょっと「5.野宿者…社会構造」が難しかった。
・学習内容は非常に良かった。進行は、冬は暗くなるので定刻打ち切りを
・とても分かりやすかったです。
・良く分かる内容でした。


セミナーに参加されて新しい学びや気づきはありましたか。

      何もなかった         たくさんあった          
        1 − 2 − 3 − 4 − 5 − 6

   1…0人  2…0人  3…2人  4…4人  5…1人  6…10人

・とても勉強になりました。こんど夜回りに参加します。
・少しずつでも、関われるきっかけになったと思います。
・全体的にとても楽しみながら学習できました。
・本当に貴重なお話しを聞かせていただいて、ありがとうございました。この問題は社会問題としてみんなが知っておかなければならない問題だと思いました。
・ポイントをついた内容で分かりやすかったです。ビデオがあったり体験談があったりで、時間が経つのが早く感じました。フィールドワークでは、何気なく見ていたもの(建物やひと)に、色々な意味や背景があったりすることに気づかされました。
・私の中に差別的な意識が正直いろいろありますが、少し払拭されたような気がします。
・このようなセミナーに参加するのは初めてだったし、今まで野宿者問題について考えたことがなかったのですが、野宿者の排除についての話の中で、野宿者を寝させなかったり、近隣に近づけないようにしょうとする地域住民がサクをつくったりして隔離している、という事実には驚きました。何も考えずに、ここにサクがあるのは当然だと思っていたからです(歩道橋の下など)。
 話は変わりますが、僕も以前テレビで(どのニュースだったかは忘れましたが)野宿者を襲撃した元高校生の話を聞いたことがありますが、その時、よく平然と「自分は正しい」と言わんばかりに堂々と喋れるなぁと反感を持ちました。社会だけでなく、個々の人々もちゃんとした認識をもって、偏見なく問題(野宿者だけでなく)に取り組んで行くべきだなと思いました。最後のゲームみたいなワークショップは、戸惑いましたが面白かったです。協力するということがどういう事か教わりました。今日はありがとうございました。
・普段から野宿者支援の活動をされている団体が、いわゆる「一般社会」と野宿者との距離を少しずつでも近づけるために、「一般人」の意識に働きかけるために、このようなセミナーを開催されるのはたいへん意義のあることだと思い、参加させていただきました。私自身、社会からはみ出た人々に対する偏見を持ち、また自分が社会からはみ出ることを恐れている人間の一人です。自分の意識構造が社会の枠組みから自由であるということはどういうことか、と考えさせられます。家を持ち、定職に就くことがえらいのでしょうか。国の作った法律を「決まりごとだから」という理由で守り、それに従う人間が本当に自立した人間だとは思えないのですが。
・寄せ場がケイタイと求人情報誌に代わって、日雇労働者がうまれつづけてるっていう話に、なるほど!!  と思いました。野宿者の問題は、それだけじゃなくすごく多くの社会問題と関わっていて、変えたくても簡単には上手くいかない問題だと思いますが、一人ひとりが地道に着実に運動を続けていったらすごく大きな力になって、徐々に変えられるかも知れないと思わせてもらいました。うまくまとまらなくて乱文すみません。今日はありがとうございました。
・準備、本番、語り、ビデオ、トータルに、たいへん気配りと内容の充実したものだったと思います。バブル崩壊後の構造変化、しっかり自分でも学びたく思っています。
・ホームレス問題はとても根が深いものだと思いました。表面的な一時しのぎしかできない現状の中、ホームレスの人々と共に生きていける支援者の姿を見ることができた。
・野宿者の人々の背景を知ることができた。初めて参加された方々との交流ができた。このセミナーがここ「ふるさとの家」でできたことが良かった。私にできることをまたさがします。野宿者になったことは自業自得と思われがちですが、社会の構造からつくられたことであることを少しでも分かればと思った。
・夜回り、できましたら参加したいと考えています。
・野宿者=失業してどうしょうもない人としか本当に思っていなかったけど、セミナー全体を通して、働きたいけど働けないという世の中に残念だと思った。あと、このような謝った考えを持っている人がいれば注意をしていきたい。
・次回、参加致します。
・初めて釜ヶ崎の勉強会に来ました。分かっていると思っていたことも、実はちゃんと分かってなかったりして、とても勉強になりました。来れて良かったです。2回目を楽しみにしています。
・いろんな問題を抱えた日本、野宿者問題はそのひとつです。解決方法は国民一人ひとりが細かいところまで目を向け、地域と共に人として生きていくことだと思います。私だけは特別だということを避け、問題意識を常に持つことから始めなければ…。まず出来ることから始めていきます。


 ▼野宿者問題のセミナー(11月20日)のお知らせ


「ホームレス」ってどんな人?
  〜野宿者問題を一緒に考えてみませんか〜

街のあちらこちらで見かける‘ホームレス’。
  
現在、日本には3万人を超える野宿生活者がいると言われています。
なのに、‘ホームレス’と呼ばれる人たちのことを知っている人はあまりいません。それどころか、社会の目は差別と偏見に満ち、排除や若者によるホームレス襲撃も後を絶ちません。
今回のセミナーでは、野宿者ネットワークの活動の中から見えてきた事柄を中心に、野宿生活者の生活の様子、また‘ホームレス’をうみだす社会のしくみや行政の対応、襲撃の実態、野宿者支援のとりくみなどを紹介しながら、みなさんと一緒に野宿者問題を考えたいと思います。

セミナーでは野宿者ネットワーク制作 ('05,.11月発行:本屋さんでは販売していません)『一緒に考えよう野宿者問題  〜教室で子どもたちと学ぶ先生のためのハンドブック〜』をテキストとして使用します。

☆日 程: 2005年11月20日(日)13:00〜16:00
          (12:30〜受付を行います)
*セミナー後、希望者は釜ヶ崎内のフィールドワーク
  →16:30〜18:00     
 (先着15名 お申し込みの際に参加希望をお伝えください)

☆会 場: ふるさとの家
大阪市西成区萩之茶屋3−1−10
JR・南海「新今宮駅」下車 東口から徒歩5分
市営地下鉄御堂筋線・堺筋線「動物園前駅」下車E出口から徒歩5分

☆参加費: 1000円(ハンドブック&資料代込み)  
*フィールドワークを希望される方は別途500円をお願いし
ます

☆対 象: 野宿者問題に関心のある方
       教員・社会教育関係者・教員志望の学生

☆定 員: 30名 (うちフィールドワークは15名)
       要申し込み 締め切り11/13(土)

☆主 催: 野宿者ネットワーク

☆申し込み: E-mail nojukushanetwork@syd.odn.ne.jp
    電話 090-8795-9499
         電話でのお申し込み及びお問い合わせは
        16:00〜22:00にお願いします



野宿者ネットワークニュース22号発行(2005.2.24)

野宿者ネットワークニュース22号が出ました。
内容は
▼正念場を迎えた西成公園の闘い
▼追悼文 板東おばちゃん、おつかれさまです
▼教育委員会との交渉・報告
▼これまで、そして今感じていること
▼「野宿者ネットワーク通信」西成公園版91〜93号
▼「野宿者ネットワーク通信」路上版


野宿者ネットワークニュース21号発行(2004.10.23)

野宿者ネットワークニュース21号が出ました。
内容は
▼野宿者人権教育の授業実現に向けて
▼2001年度6月〜9月の夜回り報告
▼夜回りに参加して9ヶ月 そしてこれからも
▼西成公園・関谷町公園の報告
▼資料


野宿者ネットワーク通信bQ0発行(2004.7.15)

野宿者ネットワーク第7回総会を特集した「通信」20号が出ました(200円)。
内容は
●総会報告
●総会議案 2003年度の活動報告
         2003年度会計/2004年度予算
         2003年度の活動方針
         会則改正 
●新旧代表挨拶
●野宿者ネットワークニュース路上版
●野宿者ネットワークニュース西成公園版

頒価200円です。


野宿者ネットワークニュース19号発行(2004.4.25)

野宿者ネットワークニュース19号が出ました。
内容は
▼「野宿者人権教育の授業実現へ向けて提言書」(全文)
▼夜回りビラ
頒価200円です。


西成公園もちつき大会(2004.1.1)

元日の今日、西成公園で恒例のもちつき大会が行われました。
西成公園は、行政による新規流入阻止の影響もあって、テントが少しずつ減っていく事態が続いています。そのためもあって、月々の交流会も参加者が少な目のことが多かったのですが、今日は年明けということもあって、多くの参加者があり、にぎわいました。釜ヶ崎キリスト教協友会による越冬セミナーの参加者や、釜ヶ崎の仲間も多く来てくれました。
餅米を炊いて、みなでもちつきをし、雑煮を作って食べ、トゥーヌマーヌによる歌を聞き、みなで歌いました。
近頃、野宿者ネットワークの作る炊事は、昆布と鰹節の天然ダシを使っていて、味の方がえらく好評です。
みなさん、今年もよろしくお願いします。


野宿者ネットワークニュース18号発行(2003.11.27)

野宿者ネットワークニュース18号が出ました。
内容は
▼大阪市教育委員会に野宿者問題の授業を申し入れ
▼夜回りに参加した小林聖心高校の生徒の感想
▼連載第4回 野宿労働者におもう 西成公園の藤井さんにお話を聞いて 真寺真

頒価200円です。


大阪市教育委員会との交渉(2003.11.13)

9月2日の申し入れに続き、教育委員会との交渉を行いました。
この日は、第1回の申し入れ後に開かれた「校長会」「教頭会」において、教育委員会が、各校に「野宿者に対する偏見、差別、暴力行為がないように徹底する」という指示を出したという報告を受けました。また今後、野宿者の人権問題について、現状把握、教育課題の整理、他都市の取り組みの把握、地元、支援との協力関係などを前向きに検討していきたいという方向性も示されました。
とりあえずの第一歩です。今後、教育委員会への要望書などの作成を進めていく予定でいます。


第4期釜ヶ崎ボランティア養成講座(2003.10.26)

第4期釜ヶ崎ボランティア養成講座の紹介です。
この講座には、野宿者ネットワークも、
11月29日の「夜回り」
3/6(土)18:00〜22:00 夜回りをとおしてみえること〜襲撃の実態から〜」
3/13(土)18:00〜22:00 野宿者の人権と教育〜学校での野宿者問題の授業の実践から〜
3/20(土) 10:00〜15:00 公園での野宿労働者とのかかわりをとおして〜交流フィールドワーク という講座を受け持ちます。

申し込み締め切りは、11月19日(水)必着です。

以下が募集案内です。(釜ケ崎ボランティア養成講座実行委員会のメールより)



■チラシ表紙の文
(実際のチラシには、当講座共通コース講師の野宿者・詩人の橘 安純さんの「仕事より 金より 友達いて 生きている」という墨書が大きく書かれています)

第4期ボランティア養成講座
釜ケ崎は、大阪の西成区にある日本最大の寄せ場で、約2万人の日雇い労働者が暮らしています。
釜ヶ崎では、これまでも仕事にアブレた労働者が野宿を強いられてきましたが、近年の不況、とりわけ建設産業の構造不況により、日雇い労働者にしわ寄せがいき、野宿生活をせざるをえない人々が急増しています。
2003年のホームレスの実態に関する全国調査によると、野宿生活者数は、全国で25,296人、大阪市で6,603人となっています。
ただし、この数字は、調査が昼間おこなわれたものであり、テント・小屋をもっていない野宿生活者がふくまれてない等、実際より少ないものです。
不況によって急増したことからもわかるように、野宿者問題は個人の問題ではないのですが、個人の責任にすりかえられがちです。
そのような偏見もあり、これまでは、国や自治体において、野宿者問題には、わずかな対策がとられているだけでした。
野宿者の急増とさまざまな団体の取組みによって、2002年の7月、ようやく「ホームレスの自立支援等に関する特別措置法」がつくられ、
国・自治体の責任が明確になったところです。
このように、国や自治体による本格的な施策は、今後に期待され、またしっかりとした取組みをさせるようにしていかなければならないところです。
一方で、このような課題に取組むため、釜ヶ崎では、長年にわたって労働組合や市民団体、キリスト教関係団体など数々の団体が様々な取組みをしてきましたが、その中から、近年、新しい活動が進められています。
代表的なものは、「釜ケ崎支援機構」というNPOが、特別就労対策事業やシェルターの運営、技能講習など行政と協働して事業をおこなっていることです。
また、野宿生活者の高齢化が進んでおり、就労施策とともに、これまでにもまして、福祉施策の充実が求められています。
というのは、高齢や障害、病気などで野宿生活を強いられている労働者が仕事を続けていくことができなくなり、生活保護を受けようとしても、まず、住居がないものには適用されないという最初の時点で大きな難関があるなど、数多くの問題があるからです。
そして、それをのりこえ、生活保護を受けるようになっても様々な問題に直面していきます。
今、釜ケ崎で求められていることのひとつは、高齢の野宿者が居宅保護に移り、二度と野宿に戻らず、この釜ケ崎で安心して生活をおくれるよう環境をととのえ支援することです。
このような新たな課題に取組むため、様々な活動が生まれてきています。
生活保護受給者たちの当事者組織、「さつきつつじ会」や「つきみそうの会」がつくられました。
事業主の中からも簡易宿泊所を部分的に改造し共同リビング等を整備しサポート・プログラムを実施するサポーティブ・ハウスをつくるという取組みがはじまりました。
まちづくりの理念のもと、サポーティブ・ハウスのオーナーや福祉・保健・医療・まちづくりにかかわる専門家・研究者等が集う「釜ケ崎のまち再生フォーラム」というネットワークもつくられました。
また、そのような中、「釜ヶ崎識字教室 もじろうかい」が、第1期釜ヶ崎ボランティア養成講座の修了生が中心となって開設されました。
第2期、第3期の修了生もそれぞれ、釜ヶ崎で活躍しています。
この第4期の釜ヶ崎ボランティア養成講座も、それぞれが自分にあったかかわり方で、継続的に釜ヶ崎でボランティア活動をしてくれる方を養成することを目的に開設しました。
みなさんのご参加をおまちしています。

主催:釜ケ崎ボランティア養成講座実行委員会



          
■共通コース(釜ヶ崎学入門)

11/28(金) ふるさとの家
18:45〜19:00 オリエンテーション
19:00〜21:00 釜ヶ崎でボランティアをするということ〜わたしの場合〜
釜ヶ崎就労・生活保障制度実現をめざす連絡会(反失連)
共同代表 本田 哲郎
21:00〜21:30 事務連絡


11/29(土)
 Aコース:三角公園
9:00〜12:00 炊き出しボランティア体験
案内:勝ち取る会 中尾 春男

Bコース:旅路の里
9:00〜9:15 オリエンテーション
9:15〜12:00 フィールドワーク(釜ケ崎の形成史をたずねて、釜ヶ崎周
辺を歩く)
釜ケ崎の語り部、『無縁声声』の著者 平井 正治 


11/29(土) 太子福祉館
13:00〜14:40 「聴く」ということ〜ボランティアの基本姿勢とかかわり方
大阪建設労働者生活相談室 ボランティアケースワーカー
入佐 明美

14:50〜16:00 野宿をはじめたころ
野宿者・詩人 橘 安純

19:00〜19:30 夜回りをするにあたって留意すること
19:30〜22:30 夜回り、終った後のふりかえり
  Aコース: ふるさとの家 野宿者ネットワーク
   Bコース: 旅路の里 木曜夜回りの会 こどもの里夜回り
22:30〜24:00 交流会(希望者のみ)
簡易宿泊所・旅路の里で宿泊(希望者のみ。女性優先階のある簡易宿泊所もあ
ります)


11/30(日)阿倍野市民学習センター
 7:00〜8:30 釜ヶ崎フィールドワーク(4〜5グループに分かれて)
釜ケ崎ボランティア養成講座実行委員他

9:30〜10:00 釜ヶ崎における福祉の基礎知識と現状について
          〜ロールプレイによるシミュレーションをまじえて〜
 
釜ヶ崎ボランティア養成講座実行委員他

10:00〜11:30 対談「釜ヶ崎における当事者支援活動とボランティア」
釜ヶ崎支援機構 福祉・相談部門 本間 全
つきみそうの会 事務局員 相馬 群
11:30〜12:00 ふりかえり、専門コース説明、事務連絡



■各選択コース

Aコース:アルコール関連問題ボランティア養成コース

12/6(土) のぞみ作業所
 9:00〜12:00 「アルコール依存症の新しい理解(社会的・統合的病として)」
        ※実習(在宅生活支援の実際)
         (社福)釜ヶ崎ストロームの家 村松 由起夫

12/20(土) のぞみ作業所
 9:00〜12:00 「通所(自立)プログラムの理論と実際(自己決定と創造療法に基づいて)」
        ※実習(グループホームの諸活動)
         (社福)釜ヶ崎ストロームの家 村松 由起夫

12/27(土) のぞみ作業所
 9:00〜12:00 「釜ヶ崎/日雇い生活を背景にしたアルコール依存症の支援に
ついて」
         ※実習(作業所作業の体験)
         (社福)釜ヶ崎ストロームの家 村松 由起夫



Bコース:当事者のエンパワメント支援ボランティア養成講座コース

1/31(土) 太子福祉館
 14:00〜16:00 人と知り合うこつ
         コミュニケーションスキルセンター・地域活動研究所 代表 藤田 敬一郎

2/7 (土) 太子福祉館
 14:00〜16:00 識字活動とは〜私たちには力がある〜 
         大阪教育大学  森   実

2/15(日)太子福祉館
 13:00〜16:00 高齢者への介護支援ボランティア
         講座終了後、安否確認同行(16:00-18:00)
         バリアフリーサービスつばさ  狭 間 妙 里 

2/22(日)太子福祉館 
  13:00〜16:00 安否確認の同行ボランティア
         講座終了後、安否確認同行(16:00-18:00)
          つきみそうの会 事務局  相 馬 群 



Cコース:夜まわりボランティア養成講座コース

3/6(土) ふるさとの家
 18:00〜22:00  夜回りをとおしてみえること〜襲撃の実態から〜
         ※講座のあと夜回り
         野宿者ネットワーク

3/13(土) ふるさとの家
 18:00〜22:00 野宿者の人権と教育〜学校での「野宿者」問題の授業の実践から〜
        ※講座のあと夜回り
          野宿者ネットワーク

3/20(土) 西成公園、フリースペースローカル(予定)
 10:00〜15:00 公園での野宿労働者とのかかわりをとおして〜交流フィールドワーク〜
          野宿者ネットワーク



■各選択コース内容

Aコース:アルコール関連問題ボランティア養成コース(定員5名)
 野宿から様々な支援で居宅生活に移行する人々が増え、 潜在していたアルコール問題が表面化しています。
 長期の不安定な労働形態・生活様式から身についた日雇労働者のしんどさの現れです。
 アルコール問題対応の基本を知った上、 他機関と連携して生活支援を行う人材が求められています。
 釜ヶ崎のアルコール問題を、理論と実践から考えましょう。

Bコース:当事者のエンパワメント支援ボランティア養成コース(定員15名)
 釜ヶ崎やその周辺では、日雇い労働者の高齢化とともに居宅保護による定住化が進み、
 単身の高齢者が数多く住むようになってきました。
 しかし、これまで簡易宿泊所で生活していた釜ヶ崎の単身の高齢者にとっては、 近くに支援してくれる家族などがいない人がほとんどで、孤独死など数多くの問題があります。
 介護をはじめとした福祉や保健・医療のサービスを十分に活用していくことはもちろんのこと、 お互いに知り合い、人情や信頼に基づく支え合う関係を つくっていくための取組みが求められています。
 そのような人間関係づくりを基本にした当事者のエンパワメント支援について学び、取り組んでいきます。

Cコース:夜まわりボランティア養成コース(定員20名)
 野宿者ネットワークが野宿者問題を取組みはじめて8年になりますが、 その活動の一つである夜まわりは、今年で6年目になります。
 毎週土曜日、8時、ふるさとの家を出発し、 日本橋付近、心斎橋付近、阿倍野付近といった釜ヶ崎周辺をまわります。
 夜まわりは、野宿者問題を考えていく上での重要な取組みになるのですが、 この夜まわりをとおして、様々なことが見えてきます。
 なぜ、これだけ多くの労働者が野宿を余儀なくされるのか。
 野宿状態におかれると、どういうことが起こるのか。
 野宿状態でおかれる多くの仲間は、どういう思いでいるのか。
 野宿を解消する手だてというのは何なのか。
 なぜ、野宿問題解決がいっこうに進まないのか。・・・
 こういった、野宿問題を考える上でさけて通れない基本的なことがらを、 野宿者ネットワークのこれまでの取組みで得られたことをふまえながら、 今回の講座で、真正面から取りあげてみたいと思います。
 講座は3回ですが、講座の後の夜まわり、野宿者が生活する公園でのフィールドワークなどの実践面も取りいれていきます。
 この講座への多くのみなさんの参加を呼びかけます。


■申込・お問い合わせ等

定 員:共通コース40名(Aコース:5名、Bコース:15名、Cコース20
名)
  
参加費:@共通コース:(一 般)6,000円、 (学 生)3,000円 
    A専門コース:(一 般)2,000円、 (学 生)1,000円
    B共通+専門:(一 般)7,000円、 (学 生)3,500円
    ※宿泊される方は、別途1泊につき約2,000円程度必要です。
     事前申込が必要ですので、なるべく申込時にその旨申し出て下さい。
     また、食事代、交流会費(自由参加)は各自負担となっています。

申込方法:11月19日(水)必着で、
     名前・連絡先(メールアドレスもしくは、FAX番号、住所)
     希望のコース、参加の動機をご記入の上
    、メール・FAX・ハガキで下記の申込先までお申込ください。
     申込多数の場合は抽選となります。

申込・問合せ先:(住所) 大阪市西成区萩之茶屋2-8-9 旅路の里気付 「釜ヶ崎ボランティア養成講座」宛
           (メール) kamavola@hotmail.com
           (FAX) 06−6713−5003
        ☆お問い合わせも、緊急の場合をのぞき、メール、FAX、ハガキにてお願いします。

緊急時連絡:090−9613−9345(釜ケ崎ボランティア養成講座実行委員会)
         ☆ただし、携帯へは、11月10日(月)以降の午後6時〜9時でお願いします。

※釜ヶ崎ボランティア養成講座は、第1期〜第3期までは、 釜ヶ崎ボランティア養成講座と釜ヶ崎のまち再生フォーラムの共催で実施してきましたが、
 第4期は、釜ヶ崎ボランティア養成講座実行委員会のみにて実施しています。




大阪市教育委員会への申し入れ(2003.9.2)

野宿者ネットワークから大阪市教育委員会に対し、大阪市内の学校で野宿者問題を取り上げることを求める申し入れを行いました。
大阪市役所の教育委員会指導課で、教育委員会指導部主任に対して趣旨説明を行ない、以下の申し入れ書を提出しました。
今回の申し入れのきっかけは、われわれの夜回りの区域で起こった襲撃事件について、8月13日に大阪市立中学の3年生が逮捕・送検されたことにあります。

大阪市内の学校で野宿者問題を取り上げることを求める申し入れ

大阪市教育委員会 委員長 山本研二郎殿
 
野宿者ネットワーク 代表 穴沢一良


 8月13日、大阪市浪速区日本橋東において、野宿者を襲撃した疑いで大阪市内の市立中学3年生を含む3人の少年が逮捕・送検されました。
 新聞報道によれば、大阪府警浪速署は13日、野宿者の男性を鉄パイプなどで殴り、軽傷を負わせたとして、大阪市内の市立中学3年の男子生徒(15)、住居不定の無職少年(15)、同(16)の計3人を、傷害容疑で逮捕・送検したとされています。警察の調べでは、3人は11日午前1時45分ごろ、同市浪速区日本橋東3の路上で、廃品回収業の野宿生活していた男性(54)の背中を無言のまま鉄パイプで小突いて倒した後、腕や頭を殴打し、腕に軽い打撲傷を負わせた疑いをもたれています。3人は「追いかけられて、必死に逃げるスリルがおもしろくてやった」「(被害者は)被害届を出さないだろうと思い、今年に入ってから野宿生活者に石を投げたり棒で殴ったりする行為を繰り返していた」などと自供しているといいます。
 
 しかし、今回逮捕され発覚した少年たちの野宿者への襲撃行為は、数多い襲撃のごく一部でしかありません。わたしたち野宿者ネットワークは、1995年以来、毎週土曜日、日本橋、心斎橋、難波、阿倍野など野宿者の多い地域を回る夜まわりを行なってきました。その夜回りの中で、野宿者への襲撃が一般に知られているよりもはるかに頻繁に行われており、かつ悪質なものであることを把握しています。
 襲撃の詳しい内容については別紙資料で触れますが、エアガン襲撃、花火の打ち込み、投石、消火器を噴霧状態で投げ込む、全身にガソリンをかけて火を放つ、殴る蹴るの暴行等々が、日本橋でんでんタウン周辺だけでもほぼ3日に1回程度の割合で起こっていました。ここ数年に日本橋を中心に繰り返された襲撃は、明らかに複数の(主に10代の少年の)グループによって行われています。目撃した野宿者の話によれば、そのほとんどは「中学・高校生ぐらいの」若者だということです。今年も、夏休みに入ったとたんに日本橋近辺で野宿者への襲撃行為が連日発生し、後頭部をいきなり棒で殴られる、花火を腕に打ち込まれるなどの被害がありました。被害を受けた野宿者のほとんどが、難を逃れて寝場所を他の地区に移してしまったほどです。そして、今回逮捕された少年グループ以外、逮捕された者はいません。若者による襲撃は、おそらく今後も続くと予想せざるをえないのです。

 日本橋、大阪に限らず、ここ数年、若者による野宿者への殺人を含む襲撃行為が全国各地で頻発していることは各種の報道で確認できます。襲撃が報道されることがきわめて稀であることを考えれば、襲撃の実態は野宿者の多い地区では「日常茶飯事」となっていると考えるべきかもしれません。
 たとえば、野宿者襲撃が日本で最初に社会問題となったのは、1983年に横浜市で起こった、14才から16才の少年10人が野宿者を次々に襲い、3人が死亡、十数人が重軽傷を負った事件ですが、この事件の後、こうした野宿者襲撃は1975年頃から横浜近辺で「常識」になっていたことが新聞社の調査によって明らかにされました。朝日新聞によると、事件後に盛り場で補導された少年少女のうち57人が「襲撃をやった」と認めました。このことは、野宿者をめぐる問題について何らかの働きかけや啓蒙・教育活動を行わない限り、襲撃行為が一部の少年少女の間に「常識」として定着してしまう、ということを示しています。

 こうした残酷な襲撃行為が繰り返される原因については、いくつかの要因が考えられます。襲撃を行った少年たちは、「ホームレスは臭くて汚く社会の役にたたない存在」「無能な人間を駆除するって感じ」などと言っています。こうした若者の発想が、行政や市民の野宿者への偏見・差別といった社会意識を反映したものであることは疑いえません。つまり、大人が「迷惑だ」と言って野宿者を何の対策もないまま公園や駅から追い出し、こどもに「話しかけられても無視しなさい」「勉強しないとあんな人になっちゃうよ」などと教えていること自体が、野宿者を社会的孤立へ追いやり、さらには襲撃の後押しをしています。襲撃する少年たち(襲撃者には大人も少女もいますが)が抱えていると考えられる「襲撃によるストレスの発散」「他者への攻撃による自己の存在確認」といった内面的問題ももちろん重大ですが、何よりも一般に浸透している野宿者への偏見・差別を解消しなければ襲撃をなくすことはできません。

 野宿者、いわゆるホームレスの数はこの数年で激増し、大阪市だけで1万人以上、全国で3万以上と言われるようになりました(厚生労働省による調査では大阪市の野宿者数は7000人台ですが、この調査ではテント生活をする定着層しか数えておらず、ダンボールハウスで商店街に夜寝る移動層が入っていません)。特に大阪市では、公園、駅、商店街などが夜には野宿者であふれかえる状態になっています。こうして野宿者問題が深刻な社会問題であるという認識が定着するようになったにもかかわらず、市民に対して野宿者問題についての啓蒙教育はほとんどされていません。その結果、市民やこどもたちの多くが「あの人たちは仕事が嫌でああして道で寝ているんだ」「その気になれば仕事なんてあるのに、捜そうともしていない」といった、実態からかけ離れた偏見・差別を改める機会がないままになっています。
                                    
 日常的に野宿者と関わっているわたしたちは、ほとんどの野宿者が失業などの理由でやむにやまれず野宿に至っていることを知っています。また、アルミ缶やダンボールなどを1日10時間近くかけて集め、それを何百円かのお金にしてなんとか暮らしているという実態を知っています。そもそも現在の社会は、いったん野宿に至った人が再び住居と仕事を持つ生活に復帰することが極端に困難な仕組みになっています。例えば、住所がない人は、職安が絶対に相手にしてくれません。また、着ていく服もありません。就職できたとして、1ヶ月先の給料までどうやってしのいだらいいのか。これらの困難は、もちろん社会的ななんらかの支援によって解決できるはずのものです。しかし、社会からの放置状態が長らく続いた結果、大半が55才以上の野宿者は、野宿生活脱出のきっかけのないまま路上や病院で次々と死亡していくという悲惨な事態が続いています。
 しかし、学校での野宿者問題の授業は日本全国でも数えるほどにとどまっています。大阪市内でも、(少数の学校で行なわれた例を別として)野宿者問題についての教育現場での取り組みはほとんど行われていません。大阪市内の児童・生徒にとって、野宿者の存在が日常のものであり、なおかつ中、高校生による襲撃が頻発していることを考えれば、こうした無策状態は社会状況に対して深刻なずれを示していると言わざるをえないのです。

 たとえば、川崎市では野宿生活者への偏見と差別をなくすための市教育委員会による取り組みとして、
A) 教職員向け「啓発冊子」作成(2回)。
B) 冊子の市内の180校全部(市立の幼稚園、小・中学校、及び市立と県立の高
校)への配布と学校への市教委の指導。
C) 人権教育推進委員会設置と各学校に人権推進教育担当教員を任命。その核の1つとして「野宿生活者問題」を位置づけ。
D) 「襲撃防止ホットライン」(24時間365日電話)設置
が行われています。
 その他にも、路上訪問を含めた学校での授業、「川崎市子ども会議」での討論 、「地域教育会議」での討論、幾つかの学校での生徒会討論、教職員研修で川崎水曜パトロールの会による研修、学校の授業での川崎水曜パトロールの会による講演などが実施されています。
 1995年当時、川崎でも襲撃が多発し、川崎市教委は、野宿者支援団体である「川崎水曜パトロール」との交渉を重ねたのち、上のような野宿者襲撃対策に本腰をあげることになりました。
 野宿者・人権資料センター発行「センターニュース3号」より引用すると、
(交渉の)当初、市教委は「人権教育をしている」「学校に指導した」「警察に警戒強化を頼む」などの発言を繰り返していた。野宿の仲間による襲撃証拠の提示と証言や、「今日、明日できることをやれ」の一点を譲らず、交渉当日夜のパトロールへの参加、当日と翌日の緊急対策会議を決定させた。その夜パトロールに同行した市教委に、野宿の仲間たちは襲撃の状況と恐怖と怒りを丁寧に説明。市教委は「野宿者一般」が襲われているのではなく、高齢・病弱・障害をもつ人やひっそりと野宿している人が襲撃対象になっていることを確認し、そこに「いじめの構造」と同質の陰鬱なものを発見する。市教委が野宿者襲撃対策に本腰をあげた理由もそこにあり、襲撃をなくすための「啓発冊子」作成と学校での授業開始につながっていく。
 現在は、野宿者の多い2行政区の小・中・高校全てで年1回は「野宿者差別をなくす」授業が行われている。中には年6回のシリーズや、子どもたちが野宿者を直接訪ねるものもある。
 川崎では、こうした教育現場での取り組みの結果、野宿者への襲撃がそれまでの半分以下にまで激減したと報告されています。
 
 現在、大阪市で野宿者問題への取り組みがほとんどなされていない現実には、一つには野宿者、ホームレスは結局は自業自得ではないか、という社会全体にある偏見が大きく影響しています。また、教員自身が、野宿者問題について知らないし、知ろうとしても情報が得られないという事情があります。つまり、教育現場での野宿者問題への取り組みのためには、市教育委員会、教職員レベルと、野宿者問題にかかわる現場の支援団体とが交渉を持ち、情報を交換し、可能な取り組みの方法を共に模索していく必要があります。
 事実、中学、高校生による深刻な野宿者襲撃事件が起こったとき、現地の教育委員会や校長は、常に「いのちの大切さの指導」や「人権教育の徹底」ということを言いますが、そのような抽象論、一般論は児童・生徒にとってはまったく意味がありません。野宿者問題の現場に立った具体的な啓蒙プログラム、教育実践が必要なのです。
 市立の学校で野宿者問題の授業を行なった教員の一人は、「大阪にいる限り、野宿者の問題は避けては通れない」と言っていました。このことは、大阪市のすべての学校、すべてのクラスについて当然にあてはまります。野宿者問題への取り組みは、大阪の教育現場でもっとも緊急に必要とされるものなのです。とりわけ、今回の事件のように、野宿者襲撃事件の逮捕者の一人として市立中学の生徒が含まれていた場合、市教育委員会としての責任と今後の姿勢が問われています。
 野宿者ネットワークは、「野宿者問題の授業」を数校で行なってきた経験があります。その授業の中で、児童・生徒たちが野宿者問題について、単なる「無視」や「軽蔑」から、「理解」と「共感」へとその反応を変えていくのを目の当たりにしてきました。われわれは、こうした実践が大阪市のすべての学校で行われることを望んでいます。
 こうした問題について、市教育委員会がわれわれ野宿者ネットワークと話し合いの場を持つことを申し入れます。

2003年9月2日



野宿者ネットワーク通信bP7発行(2003.7.10)

野宿者ネットワーク第6回総会を特集した「通信」17号が出ました(200円)。
内容は
●総会報告
●総会議案 2001年度の活動報告
         2001年度会計/2002年度予算
         2002年度の活動方針
●野宿者ネットワーク規約


第6回野宿者ネットワーク総会(2003.6.15)

野宿者ネットワークの年一回の総会が、釜ヶ崎「ふるさとの家」で開催されました。
穴沢代表のあいさつ、2002年度活動報告、2002年度会計報告と監査報告、2003年度活動方針、2003年度活動予算の各議案が出され、承認されました。
シェルター建設という大きな動きのあった西成公園のテント生活労働者である藤井さんからは、「今回の公園工事計画は野宿者ネットワークの協力もあって、なんとか満足のいく結果になった。これからもネットワークとともにたたかっていきたい」といった発言がありました。
新役員選出は、引き続き代表に穴沢さん(会計兼務)、会計監査に本田哲郎さん、事務局員5人の体制が承認されました。
最後に、西成公園の藤井さんの音頭により団結ガンバロウを行い、総会を終えました。総会終了後は、例年どおり懇親会がもたれ、交流を深めました。


野宿者ネットワークニュース16号発行(2003.5.15)

野宿者ネットワークニュース16号が5月15日付けで出ました。
内容は
▼今回の西成公園工事計画をめぐって
▼野宿者ネットワークの夜回りから(日本橋で日本橋で野宿していた労働者の死)
▼野宿者問題の授業を学校で行なっています

頒価200円です。


野宿者ネットワーク通信・西成公園版81号
 2002年度工事説明会について
(2003.2.21配布)
西成公園の仲間のみなさん!
2月14日に、西成公園工事をめぐる第5回現地説明会が開かれました。
第5回説明会の報告の前に、あらためて、1月24日第4回説明会での大阪市の発言を確認しておきましょう。
@追い出し・強制排除はしない。「4項目確認」を守る。A西成公園で生活する野宿労働者の「自立」は、西成公園から目指す。B「平成15・16年度工事」は、今後の野宿労働者対策の状況を見ながら考える。C公園内に移動する場所がなくなった場合、工事は進められないと考えている。
D移動した後の再度の移動は求めない。
以上の大阪市の発言を、西成公園の仲間と野宿者ネットワークは、以下のように解釈することを行政にも認めさせました。すなわち、労働者が納得のいくキチンとした対策がでるまで、公園中央から西側で野宿生活をしてもいいのだ、と。
この第4回説明会を受け、翌1月25日には、仲間内で集まって話し合いをもち、今年度工事に際して、以下の6点を要求していくことに決まりました(この要求は、2月1日の交流会でも再度確認しました)。

@移動期間として3ヶ月(5月連休明け)。A南東入口の車止めをはずす。B南西道路の水はけの悪い道の整地。Cある程度まとまって移動できる場所を示す。Dテント設営のための備蓄シートの供与。E同じくたる木の供与。
2月14日第5回説明会は、この要求に大阪市がどう回答するのか、ということから始まりました。市の回答は次のとおりです。
@移動期間を5月連休明けとする。ただし、生活に支障がないようにすることを前提に「着工」のかたちはとりたい。A車止めははずす。B排水溝など原因を早急に調べ対処する。C南西<代替地と呼んでいる場所>は3ヵ所(ロープが張ってある場所)。DとEは「できない」。
この回答を検討するため、行政に席をはずさせ、集まった仲間で協議しすくました。今年度工事エリアの仲間の参加は少なかったのですが、これまで公園の仲間全体で積み上げてきた経過にそって、市の回答を受け入れ、すすめることにしました。その上で、「大阪市は工事エリアの仲間に誠意をもって対応する」よう申し入れ、これに大阪市も了解しました。
また、生活保護を希望する仲間の問題では、大阪市のズサンな対応をめぐって紛糾しました。巡回相談については、仲間が拒否する権利を認めさせたうえで、こちらも了解を出しました。
また、継続案件となっていた「障害者」トイレは、2月17日から使用可となります。フェンスの「部分開放」は、3月20日前後をめどに調整中、とのことです。
以上が、2月14日の第5回説明会の報告です。

西成公園の仲間のみなさん!
これで、昨年11月15日以来すすめられてきた公園工事をめぐる、市と公園労働者との話し合いにひとつのめどがつきました。工事をそのエリアの仲間だけの問題にせず、公園全体の仲間の問題と位置づけ、取り組んできました。ねばり強く取り組みを行ってきた仲間のみなさん、ごくろうさまです。
全体的にみて、仲間が公園から不当に追い出されることはさせないという基本線はしっかり守りました。その上で、労働者の納得できる対策がでるまで、公園のテント生活を維持できるという大きな成果を得ました。この、今回の、西成公園のたたかいの歴史―8年前に公園から根こそぎテントが排除されたところから始められた闘い―にさらに積み上げられた成果を、よくかみしめようではありませんか。
野宿者問題は、これだけ深刻だと、問題を大きくとらえて進めなければ前へ動きません。中之島公園でも、今、多くの釜ヶ崎の仲間が、からだを張って、就労問題を軸にたたかっている最中です。野宿をしないでもいい対策を、という共通の目的をもって、団結してたたかわなければ、いつまでたっても労働者は野たれ死にを強いられたままです。
ここ西成公園でも、まともな対策がでるまで公園から追い出すなという共通の目的と闘いを、公園の仲間全体でさらに打ち固めていきましょう。
工事エリアの仲間は、ごくろうさまですが、市とよく話し合い、スムーズな移動をお願いします。個人の事情はいろいろあろうと思いますが、公園の仲間全体で積み上げてきた結論を大事にし、優先していただきたい。
工事エリア以外の仲間は、移動してくる仲間を支援して、協力をお願いします。
仲間同士、お互い助けあって、公園を維持していこうではありませんか。
西成公園のみなさん! 今後も何か問題が生じた時は、仲間が団結して行政に立ち向かっていきましょう!
ガンバロウ!


野宿者ネットワーク通信・西成公園版80号
 2002年度工事説明会について
(2003.2.1配布)

西成公園の仲間のみなさん
 先日1月24日に大阪市による第4回の工事説明会がありました。それを受ける形で、明くる25日に、公園の仲間内で話し合いをもちました。その報告を行います。

第4回説明会では、いつもの役人が顔をそろえました。大阪市が明言したことは、以下のとおりです。
@労働者から出された4項目は確認している。追い出し、強制排除はしない。
A公園で生活している方は、ここから自立していただく。そうでないと移動先がない。
B平成15・16年度工事についても計画はあるが、対策がでて、その状況を見ながらやる。自 立につながる対策がでない限り、公園からの追い出しは考えない。
C公園内に移動する場所がなくなったら、工事を進めるつもりはない。
D移動していただいたあとの再度の移動は求めない。

 これに対して、こちら側としての解釈を述べ、確認を求めました。そのわれわれの解釈とは、
@移動したあと、そこにいてもいいと、行政は認めるということか。
A移動先は、公園中央から西側であり、労働者が納得するきちんとした対策が出るまで、そ こにいてもいいということか。
 これについて、大阪市は「はい」とはっきり意思表示しました。
 仲間のみなさん、このことはよく覚えておいてください。上のやりとりのポイントを再度言うと、
・大阪市は平成14年度の工事はやりたい。平成15年・16年分については、対策の様子をみてから判断。そして、工事のため、テント移動したあとは、労働者の納得できるきちんとした対策が出るまでは、公園から移動しなくてもいい、ということです。
 これは、われわれがこの西成公園の闘いの歴史でいつも掲げてきた旗印、野宿せんでもいい対策がでるまでは公園から追い出すな、にほぼ達している内容といえます。

1/25の仲間内の集まりでは
あくる日、25日は、これを受けて、公園の仲間内で話し合いをもちました。結論的には、平成14年度の工事については協力し、移動を受け入れようということになりました。その上で、期間とか、場所とかの諸条件について、要求しようということになりました。その要求項目も確認しました。第5回説明会では、この、移動に際しての要求をもとに話し合いをもつ形になります。

 第5回説明会、2月14日(金)午後1時
 

野宿者ネットワーク通信・西成公園版79号
 2002年度工事説明会について
(2003.1.17配布)

西成公園の仲間のみなさん!

1月10日に、西成公園工事をめぐる第3回現地説明会が開かれました。
「フェンス問題」「広域避難場所問題」などこれまでの説明会で懸案事項となった点、また、公園でテントを張り野宿生活を続けざるを得ない労働者に大阪市行政がどのような誠意を示すかが、焦点となりました。
出席した大阪市側は、これまでと同様に、大阪市ゆとりとみどりの振興局、天王寺公園事務所でした。冒頭、大阪市から、以下の4点のことが話されました。
@2002年度工事にあたっては「仮設避難所」(シェルター)への入所を前提とせず、大阪市生活保護連盟に委託している「巡回相談」を実施し、面談によって一人一人の希望に対応できるかを聞いていきたい。
A「フェンス問題」については、管理上、即座に全面開放はできない(平日の午前9時〜午後5時の開放)が、今後、全面開放にむけて検討する。
B「広域避難場所」については、大阪市の防災計画によって、西成公園全域4.2ヘクタールと隣接する西成高校・下水処理場が一体となって、「津守」として指定されている。災害が発生した場合は、一次避難場所(小・中学校)を経て、広域避難場所へ誘導される。前回の説明会で誤った説明をしたことについては謝罪する。
C公園中央の「障害者」用トイレについては、外から鍵が開けられない構造で万一の際に問題がある。今後、鍵を代えるなど使用できるようにする。
以上が、大阪市の説明でした。
「フェンス問題」については、「本来全面開放が望ましい」「今後、全面開放にむけて大阪市は努力する」「引き続いて西成公園労働者と協議する」「できるだけ早く部分開放を実施する」ことを確認、仲間からの意見「5時に閉めきるのではなく子供たちが遊ぶ時間を考慮すべき」についても考慮することを約束させました。
また「広域避難場所」については、今までの行政の説明が不十分であったことを重ねて指摘し、今後こうしたことがないよう約束させました。
さて、ここからが、工事に関する話です。いわゆる「ホームレス支援法」によって6月に国の「基本方針」、8月に市の「基本計画」が出されるといっても、本当に野宿から脱する道が実行性のあるものかどうかわからないのだから、工事に際して「移動の協力を」と言うのであれば、「真に野宿しなくともよい道が開けるまで、公園でのテント生活を保障せよ」という労働者の要求に対して、行政は確認事項4項目(強制排除しない・テント生活を希望する労働者の意思は尊重する・シェルターヘの入所を強制しない・今後も労働者と協議する)を守るという発言にとどまりました。集まった仲間からは「誠意ある回答をしろ」「なんでシェルターに入らなかったかわかっているのか」などと批判がだされ、結局、説明会は、第4回へと持ち越しとなりました。次回説明会も団結してがんぱろう!

第4回説明会1月24日(金)1時

野宿者ネットワーク通信・西成公園版78号
 2002年度工事説明会について
(2003.1.1配布)


西成公園の仲間のみなさん。
先日12月13日に、西成公園工事をめぐる第2回現地説明会が行われました。寒い日でしたが、集まった労働者から非難がぶつけられ、結局この日も、大阪市は工事発進の目的が達せられず、宿題を背負って帰りました。
第3回説明会は1月10日午後1時からとなりました。

 出席した役人は前回と同じ、大阪市ゆとりとみどりの振興局、天王寺公園事務所。
まず、前回第1回説明会で宿題になっていた
  @行政として今具体的にできる対応策は何か
  A工事あとのフェンス封鎖の問題。
この2点の説明をしてもらうことからスタートしました。
@の具体的対応策としては、工事エリアに個別の巡回相談に入りたい、福祉事務所で措置したい、シェルターへの入所をすすめる、それがダメなら公園内移動をお願いしたい、といったものでした。
Aのフェンス問題に関しては、
北東エリア(公園事務所の仮設出張所のある場所)のみ扉での部分開放(平日は9時〜午後5時まで。土・日は閉鎖)。
 また、工事については、図面で平成14年〜16年までのエリアが示され、14年度分工事エリアのテントはこれこれの日までに移動をお願いしたい、ということが出されてきました。

 これに対し、集まった労働者から、なぜ部分開放なのか、全面開放しろ、という批判が出されました。それに対して行政答弁は、テントの新規流入を阻止したい。地域の要望もある、というだけでした。公園の広域避難場所としての役割に関しては、避難場所は西側グランドだ、といい本音がボロッとでて、あわてて別の役人がとりつくろうなど、これまで労働者に説明されてこなかった公園の使い方も明らかになりました。
 前の工事のときは、地域住民が使えるように、広域避難場所として活用する、と労働者には説明しつつ、実際は、工事が終わるとフェンスで閉鎖する、この事態が労働者にすっきり説明されず、またも不信感をあおる形となり、労働者の納得にはほど遠く、またも大阪市に出直しをさせることとなりました。

仲間のみなさん。われわれは、これまでそうしてきたように、工事を妨害することはしてきませんでした。今もそれは変わらないのですが、しかし、小手先で労働者に対応しても通じないほど行政に対する不信感がこの2回の説明会で噴出してきています。行政が、労働者の置かれている現状をよく理解し、労働者の立場を考慮した誠意ある対応を行うまで、粘り強くがんばりぬきましょう。


野宿者ネットワーク通信・西成公園版77号
 2002年度工事説明会について
(2002.12.7配布)


西成公園の仲間のみなさん。
 あらたな公園工事の動きに関して、先日11月15日に、現地説明会が開かれました。報告が遅くなったことをお詫びします。
 当日は、大阪市ゆとりとみどりの振興局から3人、天王寺公園事務所から2人でてきました。
 最初に、シェルターの一角のフェンス扉を、市が一方的に設置した件で謝罪させました。
 工事に関して、大阪市のほうからは、今年度(平成14年度)の工事計画が図面を使って示されました(この部分には14張りのテント)。また、「これは、順次来年度も進めていきたい」、さらに、「公園から出て行けといってない。公園内移動も含めてお願いしたい」ということでありました。しかし、あとで述べるように、仲間からの追及によって、工事そのものの説明は中断、具体的な中身に入っていません。
 こちらからは、4点の確認を迫りました。
  @強制排除をしないこと。
  A西成公園でテント生活を維持する労働者の意志を尊重すること。
  Bシェルター入所の強要はしないこと。
  C公園工事を含めて公園内での新しい動きに関しては、その都度、労働者と話し合い   を持ち、労働者の声を聴きながらすすめること。
これに関しては、大阪市は確認すると明言しました。。
 公園の仲間のほうから厳しい批判が出ました。それは、これまでの工事では、地域の人も使えるようにということで工事に協力してきた。だが、終わってもフェンスで囲ったまま、これでは協力するという約束の筋がとおらない。何であけないのか。
 これに対し、大阪市は、「フェンスについては、全体整備が終わってから開放する」と答えましたが、これは、明らかに、テントをすべて追い出してから開放するといっていることと同じであり、これには当然、みんなが納得するはずもありません。重ねての仲間の追及に、大阪市は、ついに、「フェンスについては関係部局と詰める。回答については、今月いっぱい待ってほしい」といわざるをえませんでした。
 ということで、工事の終わった部分のフェンス問題については、持ち帰りとなり、回答は11月いっぱいということになりました。当然、工事の話は、大阪市にとって仕切りなおしになったわけです。
 また、さらに、つぎの3点を追って確認させました。
 @あらためて説明会を開くこと。
 Aフェンスの件についてはきちんと回答すること。
 B現状を踏まえて、できる対策を示せ。
 こうした、第1回現地説明会の顛末は、工事をする目的が公園の労働者排除ということでしかなかった大阪市に、そのツケが今あらわれてきていると見るべきです。

 第2回の現地説明会は、12月13日午後1時からとなりました。
公園工事をめぐる問題の本質は、ろくな手立てもないのに公園からテントを排除するな、という一言につきます。
 自立支援センター、シェルターの諸施策でも、今のところ野宿脱出の展望が見出せない。まして、公園からテントを追い立てたところで、野宿からの脱出につながる道筋もない。それなら、無策ゆえに労働者を野宿に追い込んだ行政が、やむをえず必死に作り上げてきた労働者のそれぞれの生活を壊す権利などないといえます。
したがって、行政が野宿解消の手立て・道筋をきちんと示せるまで、テントも含む生活の場に中途半端に手をつけさせないことです。
 こういった基本的なことをふまえて毅然と闘っていきましょう。
 地域も、厳しい目をもってみています。自分だけの好き勝手な居振る舞いの問題ではないということを肝に銘じていく必要があります。あらためて、きちんと野宿者対策をやらせるまで身体をはって闘っている現場であることを一人一人、いま一度心にとめ、やっていきましょう。
 公園工事をめぐる問題は、全体で取り組んでいかなければならないので、説明会には、万障繰り合わせて、全員参加してください。

西成公園・2002年度工事説明会(2002.11.15)

11月15日、あらたな公園工事の現地説明会が行われました。
概要は、むこう3年で公園全てを工事するというもので、2002年度分として公園東側の一部エリア(14張りのテントがある)工事計画が示されました。
この現地説明会では、集まった野宿労働者から厳しい意見が出されました。すなわち、今までの工事の後、人が入れないように高いフェンスが張られ、地域住民すら使えないようになっている、どういうことか。
これに対して、大阪市は、「すべての工事が終わってから開放します」と答えましたが、それは「すべてテントを撤去してから」ということが見え見えで、誰も納得するはずもなく、次々と批判がぶつけられました。
結局、回答は11月一杯まで待ってくれということになり、大阪市は問題を持ち帰ることになりました。また、公園からテントを立ち退かせる明確な理由を求める意見も出されました。結果として、工事計画説明そのものの中身に入れず、説明会は一時中断する形になりました。
これは、これまで大阪市がテント立ち退きばかりを振りかざして、野宿せざるを得ない労働者の立場、気持ちなどに誠実に向き合ってこなかったツケが一挙に噴出したものと言えます。
次回の現地説明会は、近日行なわれる予定です。

野宿者ネットワークニュース15号発行(2002.10.24)

野宿者ネットワークニュース15号が10月24日付けで出ました。
内容は
▼野宿者問題の授業を学校で行っています。出張授業報告
▼西成公園の労働者 藤井さん 連載第3回「人はこうも生きていけるものだ」
▼関谷町公園、その後
▼西成公園盆踊り大会報告

頒価200円です。



西成公園で盆踊り大会(2002.8.31)

8月31日、西成公園で例年通り、野宿者ネットワーク・暁光会・南大阪合同教会・園田教会の主催による盆踊り大会が行われました。
各団体、そして西成公園の野宿労働者を代表して藤井さんから挨拶があり、全員で乾杯、それから主催団体と反失業連絡会などが用意したおでん、おにぎり、焼き鳥、シチューなどを食べ、のど自慢をやり、最後に盆踊りをして盛り上がりました。
西成公園は、シェルターに他公園からの入所者を含め現在70人近くが入っており、一方、西成公園内には100人近くがテントで依然として暮らしています。シェルターのこうした不人気は行政の野宿者への対応の低劣さを雄弁に語っていますが、行政は相変わらず西成公園の整備計画を用意し、新たな追い出しと収容を狙っています。今回の盆踊り大会には、シェルターに入所した労働者も来てくれました。シェルターに入った労働者と公園でテント生活をする労働者を分断させることなく、新たな追い出しに対抗して団結を作っていきたいと思います。

関谷町公園から(2002.6.27)

6月27日、(公園での)第5回現地説明会が行われました。
前回まで「出て行ってくれ」という姿勢に終始した行政側は、はじめて公園の一部・西側に320平方メートルの代替地公園内でのテントの移動スペース案を提示しました。
労働者側は、行政が「代替地」案を出すにいたった点には一定の評価をしつつも、そのあまりの狭さに対して、「これでは追い出しと一緒だ」「これぐらい なら道で寝る」と抵抗しました。行政側は「これが目一杯だ」と繰り返し、議論はかなりの時間、平行線をたどりました。
しかし、ねばり続けた結果、行政側はその場を一時中断、10分ほどの検討の結果、さらに100平方メートル分の追加を提示 しました。これを受けて、労働者側も譲歩し、代替地への全員の移動を了承しました。これによって去年9月から続いた、隣接中学の建て替えによる公園追い出しの問題はとりあえずクリアーしたことになります。あまりにも不十分な「野宿者対策」のなかでの労働者自身の身を守る闘いは、一人の排除も行わせないという成果を作り出しました。
しかし、今回の工事による公園使用後の復旧のための工事がすでに予定され、その内容はまだ不透明です。公園の仲間のたたかいはまだまだ続きます。




野宿者ネットワーク通信bP4発行(2002.6.27)

野宿者ネットワーク第5回総会を特集した「通信」14号が出ました(200円)。
内容は
●総会報告
●総会議案 2001年度の活動報告
         2001年度会計/2002年度予算
         2002年度の活動方針


第5回野宿者ネットワーク総会(2002.6.16)

野宿者ネットワークの年一回の総会が、釜ヶ崎「ふるさとの家」で開催されました。
穴沢代表のあいさつ、2001年度活動報告、2001年度会計報告と監査報告、2002年度活動方針、2002年度活動予算の各議案が出され、承認されました。
総会には、西成公園と関谷町公園の仲間も参加しました。
隣接する日本橋中学の改修工事に伴い追い出し攻撃とたたかっている関谷町公園の仲間からは、「出ていってくれ」一本槍であいも代わらない行政の対応に対する怒り、シェルター建設という大きな動きのあった西成公園の仲間からは、「何よりも行政のやり方はお上意識そのもので、上からものを言う。最後までテントでがんばりたい」「テントを追い出してシェルターに入れと言うやり方に問題がある。ネットワークとともにたたかっていきたい」といった発言がありました。
また、野宿者ネットワークもかかわった野宿者問題の教育啓発についての取り組みについての報告も行われました。
新役員選出は、引き続き代表に穴沢さん(会計兼務)、会計監査に本田哲郎さん、事務局員5人の新体制が承認されました。
最後に、西成公園の藤井さんの音頭により団結ガンバロウを行い、総会を終えました。総会終了後は、例年どおり懇親会がもたれ、交流を深めました。


関谷町公園から(2002.5.30)

5月30日に現地説明会がようやく開かれました。しかし、行政側の態度は変わらず、「みなさんのいる場所は工事に必要なので、6月末までに出ていってくれ」という一点張りです。工事は8月に始まり、2003年完成予定だと言います。これに対し、労働者は「わしらには生活がある。追い散らすようなことはやめろ」と追求しましたが、結果として現地説明会は平行線のまま終わりました。行政側は、「強制排除はしないが、個別に相談し、出ていってもらうようお願いする」と言っています。依然として行政の説明からは、本当に今テントのある場所が工事に必要なのか、明確ではありません。関谷町公園の労働者は団結を固め、闘う意志を固めています。


関谷町公園から(2002.4.20)

この3月から4月にかけて行政が空きテントに除却勧告のはり紙をはりつけたり、ロープで囲いをしたりするということが起きました。また、労働者に「4月いっぱいで出ていってもらいたい」という発言も行われました。
このことについて4月6日の交流会で行政に現地説明会を求めることを確認しました。
そこで直ちに天王寺公園事務所に連絡を取り、4月11日に西成公園の問題で行政と話し合いをもった際にも関谷町公園での現地説明を強く求めました。
しかし、天王寺公園事務所の関谷町公園担当の施設管理担当課長は現地説明会に難色を示しました。「日本橋中学改修工事の具体的な日どりは決まっていない。次の現地説明のときには身の振り方も含めて具体的なところを示さなければならないと思っている」と行って、あくまでも現地説明を認めませんでした。
その場で次の4点を確認しました。

1・「4月いっぱいで出ていってもらいたい」と言ったつもりはない。
2・ロープを張った不在テントの撤去も4月中には行わない。
3・工事との関係を含めて改めて現地説明会を開く。4月末までに日程を連絡する。
4・強制撤去はしない。

現地説明会は5月連休明け以降になりそうです。行政による不当な追い出しを許さず、団結して闘い抜きましょう。(4/20)



西成公園から(2002.4.20)

4月11日に、天王寺公園事務所で、大阪市に対する「申し入れ」を行いました。 4月6日の交流会でも確認をとりましたが、「申し入れ」の要点は大きく2点です。
@大阪市が、現地説明会を開催しないまま、シェルターの南西角から公園西側の石垣までの部分(公園西側の園路南端)にフェンスを設置したことは、昨年11月20日のシェルター建設に伴う第3回説明会での確認事項を破る行為であったこと。よって、西成公園労働者に謝罪すること。また当然ながら、今後確認事項をきっちりと守ること。
A公園内テント空き地にロープを張り「工事予定地・立ち入り禁止」なる看板を立てていること。これは、これまで新たな工事の開始にあたっては、まず労働者に説明をしてからという通例を破り、工事に先立って労働者を追い立てる行為であること。よって、工事説明会もないまま「工事予定地・立ち入り禁止」なる看板を立てる行為はやめること。
以上の二点です。
「申し入れ」に対する大阪市側の対応は、以下のとおりでした。
@フェンス設置について
・大阪市側は、昨年11月20日の第3回説明会で、当該部分にフェンスを設置する際には、労働者に対して説明を行うという確認事項がかわされていたことを認める。
・フェンス設置部分にテントがなくなった中で工事施工を急いだが「申し訳なかった」。この点について、今後機会がある際に、西成公園現地で労働者に謝罪する。
・労働者とかわした確認事項は守る。
A「工事予定地・立ち入り禁止」の立て看板について。
・ロープと看板の設置は、「新規流入」を防ぐため(ロープを張っただけでは防げない)。地元からの要請もある。「追い散らすだけ」と思われるかもしれないから、空き地のフェンス囲いはやめて、ロープにしてきた。立て看板については、後日連絡する。
・新年度の公園工事に関しては、検討中。開始にあたっては、現地説明会を開催し、そこからスタートする。
以上、4月11日の「申し入れ」の報告です。(4/20)


西成公園から(2002.2.15)

2月6日に天王寺公園事務所で大阪市に対し、要求書を提出しました。要求の骨子は、1・公園空きテントは、本人の不在をしっかり確かめた上で行うこと。2・空きテント跡地はロープ。フェンスで囲わないこと。これは、2月2日の公園交流会で集まった西成公園の仲間とともに確認したものです。
「ゆとりとみどりの振興局」の人間は、ネットワークのメンバーとの電話連絡の際、「来年度から公園整備工事にかかる予定だが、みなさんは危機感が薄いというか、まだ大丈夫だと思っておられる。シェルターも完成したので早く入って仕事を探して欲しい」という発言をしています。この発言からは、テントを公園から一掃したいという行政の意図があからさまに感じられます。そのために、テント空き地へのロープ、フェンスはりも進めているのです。
行政はシェルターの不人気をしきりに気にしていますが、西成公園のシェルター入所に労働者が二の足を踏むのは、当事者である労働者の声を聞かず、したがってシェルター改善の努力もなく、野宿解消のめどもたたないためです。
今後、工事の圧力がかかかろうとも、それに伴うシェルター入所の説得が強められようとも、仲間のまとまりを堅め、交流会などで情報と意見を出し合って、頑張っていきます。(2/15)



関谷町公園から(2002.2.3)

大阪市浪速区にある関谷町公園は、隣接する中学校の建て替え工事を巡って、公園の敷地内を資材並びに残土置き場にするという名目のもとに、追い出し攻撃がかかっています。
関谷町公園は97年に公園工事をめぐって追い出し攻撃があり、最後まで抵抗し抜いた4人の仲間に対して、大阪市がはじめて工事エリアではない公園への移動(代替地・テント4個分)を認めた公園です。
 現在も、この時の仲間を中心に20数名の仲間が野宿生活をしていますが、小さな公園でも仲間の団結は力強く、昨年の秋より公園事務所、大阪市、健康福祉局、そして教育委員会を相手に延べ3回の現地説明会を開催させています。しかし、公園の仲間の声を真剣に聞こうとしない大阪市は、現時点で中学校改築工事に伴う関谷町公園の利用を変更しようとしていません。
関谷町公園の仲間たちはねばり強くたたかいぬく決意を固めています。ネットワークも共にがんばります。(2/3)

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