1手(片手)のためのピアノ曲 

アヴェ・マリア 4:24 (2013.6rec)
Schubert, arrange Takashi Yoshimatsu, AveMaria for lefthand
シューベルトの有名な「アヴェ・マリア」の1手用編曲。吉松隆の編曲した「3つの聖歌」の1曲目で、2曲目がカッチーニの「アヴェ・マリア」、3曲目がシベリウスの「フィンランディア」。
人類が産んだ最も美しい音楽の一つ。それをまともに弾くのは非常に難かしい。
(右手故障中のため)左手による演奏。2箇所編集。

♪・アヴェ・マリア 4:39 (2012.8rec)
Caccini-Vavilov, arrange Takashi Yoshimatsu, AveMaria for lefthand

有名な「アヴェ・マリア」の1手用編曲。1990年代以降、ものすごく有名になったこの「アヴェ・マリア」は、バロック時代の作曲家カッチーニの宗教曲ということになっているが、実際にはソ連時代の作曲家、ウラディーミル・ヴァヴィロフの曲であるらしい。
作曲家が誰であれ、聞いた人がみんな思うように、この曲の美しさはただ事ではない。ふつうは声楽曲として歌われるが、それを吉松隆が片手用(両手用の編曲もある)に編曲したもの。(左手故障中のため)右手による演奏。
1箇所を編集で差し替え。

吉松隆「タピオラ幻景 op.92 左手のために」(2004)から
♪・第1曲 光のヴィネット 2:53 (2012.8rec)
Takashi Yoshimatsu, Vignette in Twilight for lefthand
「タピオラ」とはフィンランドの神話の森の神(タピオ)が棲むところ。「光のヴィネット」は「微かな光のきらめきで始まる序章。タピオの神の小さな肖像(ヴィネット)」(吉松隆)。
この曲は「ピアノ・フォリオ」と構成がよく似ている。(左手故障中のため)右手による演奏。

♪・第3曲 水のパヴァーヌ 5:11 (2012.9rec)
Takashi Yoshimatsu, Pavane for Water for Lefthand
「静かで緩やかな水の舞踏(パヴァーヌ)。中間部では流れる水の賛歌が揺れる」(吉松隆)。
吉松隆は1手のために多くの曲を書いたが、最も聞き応えがあってかつ弾くのが難しいのがこの曲かもしれない。「静かで緩やか」とあるが、実際には激しく荒れ流れている。
(左手故障中のため)右手による演奏。数カ所を編集。

♪・In A Landscape 9:40 (2012.8rec)
Cage, arrange Takeshi Ikuta, In a Landscape for onehand

ケージの1948年のピアノ曲。サティの「ノクチュルヌ」を思い出させるシンプルで静謐な美しさを湛えた曲。
もともとこの曲は両手用だが、弾いてみるとほとんどを1手で弾ける。両手が必要な箇所を、不自然にならないようにアレンジした。
まだ誰もやってないようだが、この曲は1手のピアノ曲にとって重要なレパートリーの一つになるはずだ。(左手故障中のため)右手による演奏。

♪・Dream 4:38 (2012.8rec)
Cage, Dream for onehand

これもケージの1948年のピアノ曲。とてもシンプルな曲で、こちらはそのまま完全に1手で弾くことができる(ブリッジとコーダの和音一つがアルペジオになるだけ)。
「In a Landscape」といい、「この頃ケージに何かあった?」と思うほど、情動的な動きのある曲になっている。なお、ケージの指示では主部を3回繰り返すが、ここでは繰り返し2回にした。(左手故障中のため)右手による演奏。

♪・プレリュード 2:53 (2012.7rec)
Scriabin, Prelude for Lefthand
♪・ノクチュルヌ 6:03 (2012.7rec)
Scriabin, Nocturne for Lefthand
スクリャービンによる、左手のためのピアノ曲で最も有名な曲だろう。楽譜はこちら
ぼくは、この曲をアナトール・ウゴルスキのリサイタルのアンコールで初めて聞いた。ウゴルスキが左手だけでこの2曲を弾くのを目の前で見て、「片手で弾くこんな曲があるんだ、すげー」と感心して、すぐに楽譜を探して買ってきた。その後、手首を痛めたとき、左手、右手の両方で練習して弾いた。
この曲は、スクリャービン自身が練習のしすぎで右手を痛めた時期に作った曲で、右手が回復したあとも、自身のリサイタルのアンコールでよく取り上げてすごくウケていたそうだ。
この2曲はよくできた曲で、目を閉じて聞いていると、普通に両手を使って弾いているとしか思えない。後に特異な作曲家となったスクリャービンの個性はあまり出ていないが、憂鬱なメロディと洗練された和声の響きが独特の感動的な世界を作っている。おそらく、ピアニストとしての未来が閉ざされたと絶望したスクリャービンの苦しみと覚悟が曲想に反映しているのだろう。
なお、ノクチュルヌの演奏は1箇所ハデに音をはずしたが、もう一度トライしてノーミスでこれ以上に弾くことが難しく、1小節分を他のテイクから差し替えている(編集がどこなのか、聞いてもわからないと思う)。
(左手故障中のため)右手による演奏。

<スケッチ・オブ・ジャズ> (舘野 泉に捧げる)(2007)から
♪・ 第2曲「ラウンジ・ミュージック (サンソン・フランソワに) 」 
3:47 (2012.10rec)
Kensaku Tankawa, Lounge Music For Samson François for onehand
谷川賢作の曲。「ジャズの音は譜面に定着された時点でジャズではなくなってしまう。だから『スケッチ・オブ・ジャズ』――ジャズの素描を書きました」。「繊細かつ無頼な人、時に重箱の隅までほじくる演奏の精度より、瞬間の愛おしさに本能的に行く人、というのがわたしの感じるフランソワだ」(谷川)。2箇所を編集。ピアノ音源Ivory II Italian Grand。
(左手故障中のため)右手による演奏

電子ピアノによる
音声ソフト「Audacity」で残響を加えた

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