正則高校(東京都港区)2年生 生徒の感想・質問と答え

今の社会

私達は、国語総合の授業を通じて「ホームレスの実態」について学んで来ましたが、生田さんの話を聴いて、よりホームレスについて、社会の問題についてを深く考えるキッカケとなりました。
ホームレスと聞くと、「お金がない」「家がない」「男性」「年齢層が高い」というイメージをもっています。生田武志さんのお話を聞いて、ホームレス全体の4%に女性の方がいること、そして若者が年々増えてきているという実態にとても驚きました。たとえ、女性のホームレスの方に会っていたとしても、自分の身に危険が及ばないように様々な工夫をされていて、私は気づけないと思います。同様に若者は、若い見た目から、街中に溶け込み気づけないと思います。ホームレスの存在や実態が、気づけない、見えないからこそ社会は、ホームレスの人達へのサポートがうまく出来ていないのではと考えました。
この進路セミナーを終えて街中を見渡してみると、ホームレスの方が使っているものが置いてあったり、沢山の荷物をかついで移動しているなど、沢山の人が家がない形で生活していることに気づきました。これまでにも、何度も何度もお会いしていたかもしれない。だけれども、見ようともしなかったし、その人について知ろうともしなかったということにも気づきました。
気づけたことで、この進路セミナーをただのお話しを聞く会だけで終わらせずに、「どうしてこうした状況ができてしまうのか?」「こうした状況を改善するために自分たちには何ができるのか?」と考えてみるべきだと思いました。新たな発見ができると思ったからです。
話は変わりますが、お話しの中で出てきた「ハウスがないけど、ホームがあるホームレス」と「ハウスがあるけど、ホームがない一般の人」という言葉がとても心に残っています。家に帰っても学校に行っても居場所や心の寄り所がないという子どもの話を聞いたことがありました。また、私自身も家に帰っても誰も話してくれる人がいない、つめたくされてしまうことが多くあり、家にいるのが辛く、自分には居場所がない、と感じたことがありました。そういった面で、どんな人でもホームレスの人々を襲撃する側の人になることがありえる、でもどんな理由であり人を傷つけてはいけないということを、この言葉を聞いてとても思いました。
生田さんの話を聞いて、すごく自分の中で新たな社会への扉が開いたように感じました。マイナスな面を見るたけでなく、こども夜まわりで見た人と人との大切さを感じるプラスの面も聞けてとてもよかったです。


生田さんのお話しを聞いて

今回進路セミナーで正則高校にお越しくださり、ありがとうございました。国語総合の授業から今回のセミナーでホームレスについて沢山知ることができました。私は、ホームレスについて一番始めの印象は「怖い」です。私が小学生の時、ホームレスの人が無意味に通行人に対して怒鳴っているのを見かけたことがあったからです。また、ホームレスの横を通る人たちも見て見ぬふりだったり、他の道に行くという行動をしてる人を見てそう思っていました。
子ども夜まわりで皆すごく慣れている感じで親切に関わっているのがとても驚きました。この活動が今の小、中、高校生をはじめとした若者に知ってもらうことができれば、偏見はなくなるのではないかと思いました。私もこの子ども夜まわりの子達みたいに色々な人に積極的に話かけるようにしたいなと思うようになりました。ホームレスになった人の経緯をお話しされていたことで、戦争から帰ると亡くなったことにされていて、「いざ助けを求めようと役所に行ったら戸籍がなくなっているから助けられない」。これらのことを初めて聞き、とても驚きました。なぜ戸籍がないだけで人としての扱いを受けられないのだろうかと疑問に思いました。釜ヶ崎は日雇い労働の町で、明日仕事があるかわからず、不安定な仕事だと聞き、改めて大変そうだと思いました。ですが、「日雇いは不安定だからこそ失業しやすく、やがて野宿者になりやすい」と野宿者になる典型的な例で、環境によって変わるんだなと思いました。
 環境によると言うと、新聞記事のプリントに掲載してあった、無差別殺人です。私は先日テレビ番組で拝見したばかりですが、この事件は本当によくない出来事だと思いました。元々の原因は親であり、周りに助けてくれる人がいなくて追い詰められていたと思います。田村さんのことについては、周りに助けてくれる人がいて今では活躍されています。これらの話を聴いて、環境は大事だと思ったし、環境があまりよくないと思うなら、自分で行動して早い段階で助けを求めることが必要だと分かりました。
 ホームレスへの偏見発言では、大人が野宿者への偏見(襲撃)を後押ししている現状があって、それを知った私(達)はなくしていかなければならないと思いました。
生田さんがおっしゃっていたように、「ハウスはないけど、ホームがある野宿者」が「ハウスはあるけどホームがない」ような若者に襲われるのは本当にそうだなと実感しました。私は、誰に対してもホームがある人になりたいと思います。


事実と偏見

ホームレスの方の中に、高齢の女性の方や、子ども、若者などがいるという事実にとても驚きました。私は、今回、生田さんのお話しを聞くまで、その事実を知りませんでした。また、小さい子どもが親につれられて、家を出てホームレスになってしまい、子どもが通っていた学校がなかなか気付かなかったということなどのお話しもとても驚きました。まだ未来がある小さい子どもにとって、家を失うということは、これからの未来も失うことになってしまうくらいとても深刻なことだと思いました。そして、その子どもをつれて家を出たお母さんの気持ちは考えるだけでとても辛くなりました。
ホームレス=怖い人というイメージがほぼあたり前のように人にあるという事実は、恐ろしい暴力となり、犯罪に繋がってしまうということを改めて感じました。全ての人は、皆、同じ人間であって、人に上も下もなく、平等であることをホームレスの方を前にした時、人は忘れてしまうものなのかと思いました。
ホームレスの方の事実、裏側の姿、背景を見たこともなければ、知ったこともないのに、差別や偏見を持つことは良くないことであると感じました。親が子どもに対して、「話かけられても無視しなさい」「ああなりたくなかったら、もっと勉強しなさい」などの言葉を言ってしまうのは、将来その子どもが大きくなった時に、ホームレスの方に対して偏見と暴力などをしてしまうおそれもあります。親の言葉は子どもにとても影響するものなので、その子どもがまた自分の子どもに同じことを言って、また、その子どもから自分の子どもへと伝わっていくのだと思いました。それが、人の偏見や差別が無くならない原因だと思います。
子どもが夜まわりに参加することは、そういった原因を無くす大きなキッカケになると思いました。「こどもの里」の館長の荘保さんが、子ども達に伝えることは、子どもにとっての考え方が偏見ではなく、人に寄り添うことになることを願っているのではないかと思いました。私は今回生田さんのお話しからたくさんのことを学ばせていただくことができました。これからの未来が偏見や差別がなく、ホームレスの方に全ての人が寄り添うことができるような社会になることを強く思いました。


ホームレスの現状

今回の生田武志さんのお話しを聞いて、ホームレスの現状についてや、ホームレスの人がどう思いながら生活しているかを知ることができたと思う。
ホームレスになっている日雇い労働者がたくさん集まっている釜ヶ崎では野宿している人のほとんどが高齢者だということが分かった。野宿しているほとんどの人が朝からビニール袋に2円でしか売ることができない空き缶やダンボールを集めている人がいる事が分かった。中には自転車に乗りながら集めている人がいることも分かった。
生田さんによると、朝から8時間~10時間かけて空き缶を集めている人がいる。でも、たくさん時間をかけて1000個集めても2000円にしかならず、時給にすると200円。今どきの高校生がマクドナルドでバイトしても時給約1000円、どんなに野宿者が頑張って空き缶や段ボールを集めても、40時間~50時間かけないと、今どきの高校生のバイト代までいけないことが分かった。
生田さんが話していた池袋無差別殺人事件に関して、世界仰天ニュースというテレビ番組が最近取り上げているのを見ていたので、造田死刑囚がこれまでどんな道を歩んでいたのかを知っているつもりだったけど、改めて説明されると、何か胸にくるものがあった。
造田さんと今は芸能人になっている田村さん、この2人の共通点としては子供の頃に、貧困から抜け出せず、社会に居場所が見いだせていなかった所だと思う。それでも違う所は、その時に救いの手があったかなかったかだけである。造田さんは親がギャンブルの沼にはまり、借金をし、最終的には親に捨てられ、学校にも行けなくなり、バイトをするしかなく、バイトをしてもすぐに辞めてしまい、最後には犯罪に手を染めてしまった。いっぽう田村さんの方は、ホームレス中学生になっていたけど、友達とそのお母さんや回りの大人たちのおかげで、もとの生活を取り戻すことができた。自分が一番困っている時に、回りの人からの救いの手があり、なおかつその人をちゃんと信じることで、道は変わるのだなと思った。造田さんが困っているときに学校の先生でも、地域の人、近所の人達が救いの手を指し伸ばしていたら、あんな事件は起こらなかったのかと生田さんと同じように思った。
話を聞いて思ったこと
私は、生田さんの話を聞きさいしょに思ったのは、若いころからとても行動力のある人だったのだなということです。ホームレスの人と同じ環境を学ぶために日雇いをやったてみたりアルバイトをやってみたりなど、実際に体験してみた人の感想や、こんなことがあったなどの体験談はとても説得力があったし、興味があった。次のとても心に残っている話がハウスレスの話です。
ハウスは家、ホームはよりどころや居場所であり、ハウスレスの方々を襲うような人は、その人のことをホームレスなのだと、よりどころや居場所がないのだから人を差別し襲ってしまう。これは、まったくその通りだ。心のやすらぎがあるということ、そんかなやすらぎがあるからこそ子供夜回りの体験者の話の中に、「自分が思っていたよりも優しい人だった」「バイバイと手を振り返してくれた」などのあたたかな話が聞けたのだと思う。そして、自分がこの話を聞いて思ったのは、電車内での冷たい態度の人は、心のやすらぎがないのだと思った。そして、質問に答えてくださった際に、差別や偏見を持ってしまうのは、ハウスレスの人たちのことを知らないからだと教えて、その通りだなと思った。そして、知らないのに知ろうとしない、偏見の壁をやぶれないのだと思った。偏見をなくすためには、多くの人が壁をやぶる必要があると思った。なので少しでも多くの人に知ってもらえるといいなと思った。


生田さんの話を聞いて

私は、生田さんが大学卒業後、日雇い労働者の気持ちを知るため、日雇い労働に努めたという話を聞き、驚きました。他者の気持ちを知るために同じことをするというのは、とても凄いことだと思いました。
また、お父さんが失業をして家族で車で過ごしているとか聞いたとき、そんな人がいるんだと思ってしまいました。
生田さんの話で一番印象に残っているのは、ホームレスの人を襲撃する人たちです。もらったホームレスの事件の資料を見て、どれも非常に残酷なものだと感じましたが、生田さんの話で、ホームレスの人がガソリンをまかれたという話が一番心に残りました。一度めのとき、火がすぐ消えてしまったことを学習し、
二度もガソリンの量を増やしてまたホームレスの人を燃やそうとするような人がいると聞いて、どうしたらそんな異常な行動ができるのかと不思議に思いました。そういう考え、行動ができる人が、普通に暮らしているのが気味の悪いものだと思いました。
また、ハウスがあってもホーム(居場所)がない人、
ハウスがなくてホームがある人という言葉にとても共感しました。前者の人は、自分の居場所がなく、その辛さが怒りを自分より弱いホームレスの人にぶつけたりしているんだなと思いました。ホームレスの人の方が社会的立場は弱いかもしれませんが、頑張って自力で生きている姿を聞いて、ホームレスの人の方が強い人間だと思いました。
また、無差別殺傷事件のように、子供の頃から貧困だと、人格が歪んでしまうのかと考えてしまいした。造田さんの生い立ちをきくと、殺人をするのはよくないことだけど、仕方ないのかと思ってしまう。勉強を頑張って進学校にまで入ったのに親が急に消え、高校も退学しなければいけないという。自分も、急にに親が消えたら正気でいられないと思います。
誰が相談できる人がいたら造田さんは変われたんじゃないかと思いました。
貧困による格差が消え、全ての人が平等に生きていけたらいいなと思いました。


■生徒からの質問と答え

質問がいっぱいあって、全部は答えきれませんが、いくつかについて応答しました。


なぜ大阪ではこども夜回りをしているのに、東京ではないのか。

全国でも、「こども夜回り」は「こどもの里」と「山王こどもセンター」でしかやっていません。
どちらも、野宿者の多い地域にあるので、こどもが施設から歩いてすぐ回れる、という場所の問題もあります。
とはいえ、東京で、野宿の人が多い地域にもこどもの施設はあるはずですが、「子ども夜回り」は行われていません。「こどもの問題」と「野宿の問題」を両方、考える人が少ないのかな、と思います。
野宿者襲撃は10代が多くやっているのですから、その解決のためにも、取り組みをしてほしいな、と思います。

夜回りをしているこどもたちの親はどう思っていますか

「こどもの里」や「山王こどもセンター」の親のみなさんは理解してくれているようです。
ぼくが中学・高校でこういう話をすると、よく「夜回りに行きたい」という生徒がいます。
未成年だし、夜なので、親に話して了承してもらう必要があるのですが、時々、猛反対する親がいるようです。
それこそ、「危ないから行くな」とか「ホームレスにかかわる活動なんてとんでもない」とか。
以前、ぼくの授業を聞いた高校生がこう書いていました。
「家に帰って親とかとホームレスのこととかを話し合ったりして、しんけんに親ともめたこととかありました。親もこうゆう話がいっしょにできるようになってうれしいとゆってました。やっぱり親もボランティアの授業にはいる前の私と同じようないけんでした。でも、ちゃんと説明とかして親もわかってくれるようになって、とてもうれしかった。」
 偏見を持ってた親も、子どもと話して、理解してくることもあるようです。

夜回り以外で、学生が野宿者に直接かかわる支援は何か

東京でも大阪でも、炊き出しに参加する中高生や大学生がいますよ。
それと、ビッグイシューを買う、という方法もあります。一冊490円ですが、街で買って、売っている方と少しお話しすると、いろいろ興味深いと思います。

野宿者に税金をつかうことに人々はどう思っているのか

「ホームレスは税金を払ってないんだから、われわれが払っている税金を使うのはおかしい」という人はいます。確かに、野宿している人たちのため、施設や医療、生活保護などで税金を使うことがあります。
ただ、野宿の人は、買い物で消費税を払っています。また、住民税(定額負担の「均等割」と所得金額に応じて負担する「所得割」がある)は、生活保護の利用者や、給与収入が100万円以下の人(単身者の場合)は課税されません。野宿者の平均月収は3万円ほどです。年収36万円程度だから、住民税は課税されないと考えられます。「税金を払ってない」んじゃなく、「払うべき税金が0円」ということです。
 また、日本は、「政府開発援助・ODA」で、海外の貧困国に援助を続けています。海外の貧困な人々(もちろん日本に税金は払っていない)を援助するのが正しいなら、国内の貧しい人々を援助するのも当然です。
 なお、高校生は所得税も住民税も払っていません。多くの高校生は収入がないからです(アルバイトも、扶養内なら年103万円までは非課税)。一方、同じ歳で家を離れて働いている人は所得税や住民税を払っています。
 それでも、高校への補助金などに税金が使われています。「小学校から大学を卒業するまでのあいだは、子ども1人あたりに毎年90万~100万円前後の税金が使われています。国税庁のホームページによれば、小中高の12年間で1140万円が使われているとしています」(日本経済新聞2021年2月8日)。「税金を払っていない人のために税金を使うのはおかしい」と言うなら、高校生にも税金を使うべきでない、ということになります。一方、野宿の人の多くは、以前に所得税や住民税を納めていたはずです。

なぜいまの政府はホームレスおよび生活困窮者の手当を厚くしないのか。

以前、『貧困を考えよう』(岩波ジュニア新書)でこう書きました。

日本の政財界は「国際競争に勝つためには、低賃金でいつでも解雇できる労働力が必要」と、特に女性と若者の間で雇用の「柔軟性」(flexibility)を推し進め、しかも労働者の「生活保障」(security)はほったらかしにしてきた。こうして、日本は大企業だけが大もうけし、他は「仕事が不安定」で「生活も不安定」な社会になってしまった。その結果、貧困のために親を頼って生活するしかなく、将来は「生活保護」しか考えられない若者を激増させ、さらに多くの人が将来の不安から子どもを作れず、少子高齢化がいっそう進行してしまった。日本の経済界は「国際競争」と言いながら、「人材を大切に育てる」という一番重要なことを忘れて、日本社会を滅ぼしにかかっているとしか思えない。
 もちろん、多くの税金を使ってセーフティネットなど社会保障の給付を充実させる大きな政府」では市民の負担は大きくなる。だがその分、教育や医療、住宅などのセーフティネットが強くて個人にお金がかからない「安心社会」になる。今のような「小さな政府」では、個々人の負担は少ないが、セーフティネットが弱い「不安社会」になり、その分、自分でお金を出して補わなければならなくなる。その「どちらにするか」はその国の国民の選択だ。

いまの日本は、セーフティネットが弱い「不安社会」の方向に進んでいると思います。

「一緒に生活保護の申請に行く」とはどういうことなのか。

一人で行くと、役所で「何もできません」と言われて追い返されちゃうことが あるので、ずっと同席することがあります。そうすると、役所の対応が、時には手のひらを返したぐらい変わります。
以前、ある市で夫を亡くして生活に困り、友人宅を転々としている女性が役所に相談に行ったら、「いまどこで寝ているんですか。ああ、それなら住むところがあるんですね」と言われて何もなしで追い返された、ということでした。
その人と役所に同行したら、あっさり生活保護を受けることができました。しばらく女性用の施設で暮らして、そこからアパートを探して入居、というやり方です。
同行すると、書類をいっぱい書いたりするので、ケースによっては5時間ぐらいかかります。なかなか大変です。

もしホームレスになってしまったら何をすれば良いのか。

失業、DV、けが、病気など、いろいろな原因で野宿になることがありえます。
野宿になる前に、野宿になった時には、相談に行きましょう。
役所の生活困窮者支援窓口、生活保護の係は相談にのってくれます。
また、東京だと新宿に「もやい」という団体があって、電話やメールなどで相談に乗ってくれます。東京の場合、ほかにもさまざまな民間団体が生活相談や炊き出しを行なっています。
電話やチャット相談もいくつかあって、よく地下鉄などにお知らせが出ているのが「よりそすいホットライン」です。無料で話せて、近くの相談先を紹介してくれます。。
ぼくのかかわった多くの人は、野宿になって初めて相談したり、お金がゼロになってから相談の電話が入ったりします。そうすると、相談に来るための電車代もないため、相談自体が大変になったりします。
なので、ぼくはよく「収入がなくなって、生活費が一か月の半分を切ったら相談しましょう」と言っています。

夜回りをして今まで一番つらかったことはなにか。

いくつかあるんですが、路上で野宿の人が亡くなることがあり、それはショックです。
 今年1月15日から3月1日まで、釜ヶ崎にある「あいりん総合センター」周りの路上で4人が亡くなりました。そのうち3人は路上の野宿状態で亡くなっているのが発見され、一人は救急搬送され、その後、死亡が確認されました。
 3月1日に救急搬送された人は、去年の夏頃からこの場所で野宿していたようです。亡くなる10日ほど前から、足を引きずるなど見た目に体力が落ちているのがわかり、夜回りグループなどが「大丈夫? 病院に行った方がいいんじゃない?」と声をかけていました。一度は、見かねた支援者が救急車を呼んだが、それでも本人が「行きたくない」と拒否して搬送されませんでした。
 別の2人はこの場所で長年野宿していて、一人は釜ヶ崎で行われている、55才以上の人が就労できる「特別清掃」の仕事にずっと出ていました。もう一人は50代の人で、夜まわりなどで声をかけるとニコニコと対応してくれる人でした。みなさん、体調が急に悪化していたようです。
 釜ヶ崎近辺では、こうした路上死が残念ながらずっと続いています。野宿者ネットワークなど、いくつかの団体がこの人たちに声をかけていました。朝に回って声をかける団体日中に声をかける団体、夜まわりをする団体と、一日に何度かの頻度で関わりを続けていたが、それでも路上死を防ぐことはできませんでした。こういう事があるたび、「何かできなかったのか」と考えています。

野宿から生活保護を受けアパート入居を果たした人たちの中で今でも連絡を取り合ったりするのか。

アパートに入ってからも、基本的に月に一回くらい、アパート訪問をして話をしたり、相談したりしています。
中には、聴覚過敏などのため、まわりの部屋の人とトラブルになって、引っ越しをしなければならない人もいます。その場合、一緒に別のアパートを探して引っ越す手伝いをしたりします。他にも、仕事に就いて、そこでの相談や家族との事での相談に乗る事もあります。
入院する場合もありますが、そのときはお見舞いに行っています。(コロナ問題で、最近はお見舞いに行けませんが)
あと、月に一度、こういう人たちで集まって食事をしたり、日帰り旅行する催しも続けています。

「ふたりのひろし」の話を聴いて驚いた。
もしこういう人が身近にいたら、どうすればいいのか。


具体的には、「こどもの貧困」問題に対応できる大人に相談する必要があります。
学校のスクールソーシャルワーカー、区役所の生活困窮自立支援窓口、民間の「こどもの貧困」で活動している団体に相談するのがいいと思います。
 一番大事な事は、その人の事を心配して、友だちとして寄り添ってあげることだと思います。


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