野宿者への支援活動・夜まわりへの誘い


 わたしたち野宿者ネットワークは、毎週土曜日、釜ヶ崎、日本橋、心斎橋、難波、阿倍野など野宿者の多い地域を回る夜まわりを行っています。
 午後7:45(団体参加の場合は7時半)に釜ヶ崎(大阪市西成区の「あいりん地区」)にある「ふるさとの家」に集まり、8:00にそれぞれの地区へ分かれて出発します。
 夜まわりでは、路上で野宿を強いられている人たちに医療・生活相談・炊き出し・支援運動の情報をビラなどで伝えたり、襲撃・追い出しなどに対する情報を聞きとったりしています。そこでは、一人一人と話し込むことで野宿者とのつながりを大切にしています。
 夜まわりをはじめとする野宿者への支援活動への参加をお願いします。

(初めて参加される方は、野宿者ネットワークのメールか携帯電話に連絡をお願いします)



 野宿者の現状について


▼野宿労働者(いわゆるホームレス)の数はこの数年で激増し、大阪市だけで約1万5000、全国で3万以上と言われるようになりました。特に大都市圏では、公園、駅、商店街などが野宿者であふれかえる状態になってきました。
 しかし、野宿者問題が深刻な社会問題であることが誰の目にも明らかになってきたにもかかわらず、行政や市民による野宿者への支援策はいまだ不十分なままです。また、一般の多くの人たちは「あの人たちは仕事がイヤでああして道で寝ているんだ」「その気になれば仕事なんてあるのに、さがそうともしていない」といった、実態からかけ離れた偏見・差別を改める機会がないままになっています。
▼しかし、実際にはほとんどの野宿者は、失業などの理由でやむにやまれぬ理由によって野宿に至っています。また、野宿者のほとんどが、アルミ缶やダンボールなどを1日10時間近くかけて集め、それを何百円かのお金にしてなんとか暮らしているという状態にいます。
 そもそも現在の社会は、いったん野宿に至った人が再び住居と仕事を持つ生活に復帰することが極端に困難な仕組みになっています。例えば、住所がない人は、職安が絶対に相手にしてくれません。また、着ていく服もありません。就職できたとして、1ヶ月先の給料日までどうやってしのいだらいいのか。これらの困難は、社会的な支援によって解決できるはずです。しかし、行政の無策が長らく続いた結果、大半が55才以上の野宿者は、野宿生活脱出のきっかけのないまま路上や病院で次々と死亡していくという悲惨な事態が続いています。
▼もう一つ深刻な問題は、野宿者への襲撃です。
野宿者襲撃は、殺人でもない限り新聞にも出ませんが、一般に知られているよりもはるかに頻繁に行われており、かつ悪質なものです。エアガン襲撃、花火の打ち込み、投石、消火器を噴霧状態で投げ込む、ガソリンをかけて火を放つ、殴る蹴るの暴行等々、わたしたちが毎週夜まわりしている日本橋でんでんタウン周辺だけでも、こうした襲撃が3日に1回程度の割合で起こっています。
 殺人などの襲撃を行った少年たちは、「ホームレスは臭くて汚く社会の役にたたない存在」「無能な人間を駆除するって感じ」などと言っています。こうした若者の発想が、行政や市民の野宿者への偏見・差別といった社会意識の反映されたものであることは疑いえません。
▼運動体やボランティアによる野宿者への支援活動は数十年前から釜ヶ崎を中心に行われています。しかし、運動体、ボランティアの数も力量も限られており、深刻な野宿者問題を解決するにはほど遠いのが現実です。
 野宿者への支援活動は、現在さまざまな形で行われています。その中でも、夜まわりは野宿の現状を自分の目で見て、野宿している人たちと接し、話をしてみるという点で、支援活動の原点となる意味をもっています。
 わたしたちはこれまで数多くの野宿者と接し、支援活動を行い、また野宿者に対する公園からの追い出しなどの様々な差別や、深刻な襲撃を目の当たりにしてきました。その中で、社会と野宿者をめぐる問題に心を痛め、あるいは野宿を強いられる人たちとの交流から、社会や自分たちのあり方を問い直す力を与えられてきました。
 野宿者の問題は、今後も更に拡大し、深刻化していくことが予想されます。みなさんに、野宿者への支援活動、夜まわりへの参加をお願いします。




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