「ホームレス問題の授業づくり全国ネット」 参加へのお願い

 わたしたち「ホームレス問題の授業づくり全国ネット」呼びかけ人は、これまで野宿者問題にかかわりながら、支援者、ジャーナリスト、学校教員等、それぞれの立場から、学校での「ホームレス問題の授業」に取りくんできた有志の集まりです。
 このたび、「ホームレス問題の授業づくり全国ネット」を立ち上げるにあたって、広く、全国の皆さんのご参加を呼びかけます。

呼びかけ文

いま、日本各地で、子ども・若者たちによる野宿者への襲撃事件が起こっています。投石、エアガン・花火を打ちこむ、消火器を噴霧して投げこむ、ガソリンをかけて火を放つ、殴る・蹴るなどの暴行が、日常的に頻発しているのです。
 06年には、姫路市の中高生ら少年4人が、野宿者に火炎瓶を投げこんで焼死させるなど、被害者が「死」に至る事件も後をたちません。
 襲撃した少年たちは、「ホームレスは臭くて汚くて社会の役にたたない存在」「ゴミを掃除しただけ、大人は叱らないと思った」などと語っています。そこには、大人・社会の野宿者・貧困者への差別意識が、あからさまに反映されています。
 そして、子どもたちの野宿者襲撃には、「いじめ」問題との強い共通性があります。いま、多くの子どもたちが、学校、家庭、社会から「ありのままの自分」を認められず、仲間に対しても「過剰な同調」と「競争意識」を強いられ、そのストレスから「自分より弱い他者を攻撃すること」で、自分の存在・価値を実感しようとしています。子どもたちの「ホームレス」いじめも、まさに同じ背景・構造にあり、加害者自身が「自分を尊重され、他者を尊重できる」という、基本的な関係性が築けず、心理的に抑圧されています。
「ホーム・レス」を、安心できる「家や居場所がない状態」と捉えるなら、彼らもまた「心のホームレス」「関係のホームレス」であるといえるでしょう。
 また、多くの若者たちが、学校を出て働いても、満足な収入が得られないワーキングプアや、都合よく使い捨てられるフリーターになるという現実、さらに社会に出て働く意味そのものが感じられないという問題にも直面しています。「ネットカフェ難民」といわれる若年層の「ホームレス」化とともに、野宿者と若者たちの抱える貧困・労働問題は、もはや切りはなせない地続きのものとなっています。
 わたしたちは、「襲撃・いじめ」といった若者たちと野宿者の「最悪の出会い」を、希望ある「人と人としての出会い」へと転換していくために、襲撃問題を解決するための取りくみや、学校での「ホームレス問題の授業」を行ってきました。しかし「ホームレス問題の授業」の実践は、日本では、まだごく一部です。子どもたちが加害者となる残酷な襲撃・殺害事件が頻発しているなか、教育現場の対応は信じられないほど遅れています。
 襲撃問題の解決のために、野宿者をはじめ、子どもや若者たちが安心して生きていける社会の実現のために、「ホームレス問題」への理解と共感、あらゆる命・人権を尊重するための「授業の実践」を、至急、教育現場で展開していくことが必要です。
 わたしたちは、こうした問題に関心をもつ全国のみなさんと、授業の実践、情報交換、教材の開発、そして文部科学省・各地の教育委員会へ「学校でホームレス問題をおこなうこと」を求めていくために、つながり、力を合わせていきたいと願っています。ぜひ仲間に加わっていただけますよう、多くの方のご参加を呼びかけます。

「ホームレス問題の授業づくり全国ネット」
呼びかけ人
  生田武志(野宿者ネットワーク)
  北村年子(フリージャーナリスト)
  清野賢司(東京都教員・NPO法人TENOHASHI事務局長)
  飯田基晴(ドキュメンタリー映画監督)

●「ホームレス問題の授業づくり全国ネット」メーリングリストの開設を予定しています。ご参加希望は、氏名・所属等を明記の上、こちらのアドレスまで。    cex38710@syd.odn.ne.jp
※サイト「野宿者問題の授業を学校で行なっています」のメールでも送れます。
●連絡先:090−8795−9499(野宿者ネットワーク)