西成公園

西成公園では、現在30名弱の仲間が暮らし、依然として新たな仲間を迎え続けている。また、よろず相談所を中心に、2012年2月には東京・堅川に駆けつけるなど、各地の強制排除に抵抗する闘いの一翼を担い続けている。
2011年初夏は、少年や大人による襲撃が相次いだ。自転車や自動車で夜間に押しかけ、団結小屋に投石していくなどの悪質なものである。6月25日は野宿者ネットワークも夜警に参加した。学生や元長居公園テント村界隈の仲間たちが応援に駆け付け、15名ほどで翌朝4時まで不寝番を務めた。解散してすぐ、少年が投石に来た。その後も襲撃が続いたため、7月23日にも再度夜警に参加した。その後は平穏だったため、夜警の必要はないと判断した。しかし、以前から襲撃は五月雨式に起きており、仲間たちが緊張から解放されたわけではない。ちなみに、2012年3月頃には、仲間1名が公園外で高校生に暴行を受ける事件が起きている。高校の先生と話をする機会が得られたが、加害者が特定されず、決着はついていない。
毎年恒例のイベントは例年通り開催した。1月1日の団結もちつき大会には、元長居公園テント村のメンバーたちや扇町公園の仲間たちも駆けつけた。8月28日の夏の集いでは、各公園からの参加は諸事情により得られなかったが、神戸大学の企画の一環として学生10人ほどが参加、恒例のアカペラ大会ではスマートホンでインターネットから歌詞や伴奏をダウンロードするという新しい技を持ち込んだ。西成公園の仲間たちの生きざまは、確実に学生たちの人生観に大きな影響を及ぼしている。
2012年4月上旬には、西成公園の最初の闘争から参加していた仲間、青木さんが逝去された。これまでの活動に謝意を表すとともに冥福をお祈り申し上げます。
交流会は年10回のペースで開催しているが、参加者が少ないうえに人手不足が深刻である。これまではうどんを調理していたところを弁当の購入で済ませるなどして省力化に努めているが、今後どうするかは検討を要する。
野宿者ネットワークのメンバーで研究者でもある綱島が、文部科学省から研究費を獲得して、西成公園の仲間数名や就職困難の若者たちと耕作放棄地の再生に取り組むプロジェクトを、2012年8月より開始している。新聞でも報道されたとおり行政からも注目を集めているが、これまで行政と闘いながら培われた仲間たちや支援者らの連帯が、このプロジェクトの基礎であることを忘れてはならない。農園の作業日と先述の交流会の日程が重なることは残念であるが、仲間たちとともに仕事を創り出していく取り組みは、後述するような現状の中、ますます重要である。
行政のきな臭い動きがさまざまな懸念をもたらしている。とりわけ、高齢者特別就労事業の予算縮小と、釜ヶ崎周辺における露天商取り締まりは、仲間たちの生計に重大な悪影響を及ぼしている。橋下市政の「西成区対策」が2012年度8月以降、どのように展開するかを慎重に監視する必要がある。
以上の現状認識に基づいて、今後とも、よろず相談所と連携しながら、仲間たちの命を守る闘いに連帯していく。また、仲間たちの生き方に学びながら、この社会の在り方を根底から問うようなメッセージを社会全体に発していく。

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